研究課題/領域番号 |
21K10043
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中野 敬介 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10325095)
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研究分担者 |
河合 穂高 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10803687)
志茂 剛 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40362991)
長塚 仁 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70237535)
辻極 秀次 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70335628)
高畠 清文 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70736537)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 高浸潤型 / 低浸潤型 / 腫瘍間質 / 細胞競合 / オルガノイド |
研究実績の概要 |
2021年は腫瘍の生物学的な特性と関連因子の発現を確認するために、移植腫瘍を用いた組織学的な検討をおこなった。臨床的に内向型の発育様式を示す口腔扁平上皮癌は上皮下結合組織へ浸潤増殖していくが、口腔扁平上皮癌の亜型の疣贅癌は体表外へ向かって外向性に増殖し、結合組織への浸潤性に乏しい。通常型の口腔扁平上皮癌(高浸潤型癌)、およびその亜型である疣贅癌(低浸潤型癌)について、これら性格の異なる2つの癌の間質細胞を互いに入れ替えてマウスに移植した。その結果、低浸潤型癌の間質細胞は、高浸潤型癌を低浸潤型に変化させ、高浸潤型癌の間質は低浸潤型癌を高浸潤癌に変化させた。移植癌組織を組織学的に検討し、低浸潤型癌組織では、間質細胞にYAP, Notch をはじめとして、細胞競合で勝者に発現する細胞競合勝者因子が強く発現し、高浸潤型癌組織では、癌細胞に細胞競合勝者因子が強く発現していることを確認した。癌の間質は従属的組織として癌の制御下におかれているのではなく、細胞競合の働きによって癌細胞へ働きかけて癌細胞の性格そのものを変化させている可能性示唆する結果を得られた。また癌細胞と間質細胞を共培養し、癌と間質細胞の相互作用を検討できる実験モデルの作製を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は移植腫瘍組織を用いた組織学的な検討を行っている。研究内容は研究実施計画に則っており、順当に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のもっとも重要なポイントはin vivoの実験系を用いた組織学的な検討である。したがって、腫瘍移植モデルについて信頼性と再現性のある結果を得るために実際の生体を再現したオルガノイドモデル構築とあわせて、組織学的検討を継続しておこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品購入について予定より節約できたため次年度使用額が生じた。使用計画については、次年度、腫瘍細胞培養と腫瘍オルガネラ製作にの実験にかかる費用に充当する予定である。
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