研究課題/領域番号 |
21K10050
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
山川 延宏 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (00526709)
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研究分担者 |
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70201465)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 局所再発 / 頸部リンパ節転移 / 口腔癌 |
研究実績の概要 |
口腔癌の治療法はほぼ確立しており、治療成績も向上してきている。しかし、早期の口腔がんにおいても原発巣の再発や頸部リンパ節への後発転移をきたすことにより、予後不良となる症例がある。現在、手術切除標本の病理組織学的因子から再発・転移の高リスク症例を抽出し厳重な経過観察を行い、再発・転移を認めた際に、できるだけ早期に発見し治療を行うことが一般的である。しかし、現在明らかとなっている病理組織学的な再発・転移高リスク因子のみでは予測することが難しく新たな予測因子の同定が求められている。 本研究は、これまでの病理組織学的な再発・転移予測因子に加え、新たな因子を解明し治療成績の向上につなげることを目的としている。 再発・転移を起こすような因子の同定には、初回治療時に転移を認めない早期口腔がん症例が適切であると判断した。 2021年度は、2008年から2018年にStage I, IIと診断された早期口腔扁平上皮癌症例の抽出を行い患者背景などの情報を集積した。抽出された患者は152例で男性が75例、女性が77例であり、平均年齢は66.4歳であった。Stage Iが51例、Stage IIが101例であり、原発部位としては舌が最も多く94例で、頬粘膜が18例、下顎歯肉が16例、上顎歯肉が10例、口底が7例、口蓋が5例、口唇が2例であった。152例中31例(20.4%)に再発・転移を認めた。再発・転移を認めなかった症例の5年累積生存率が92.7%であったのに対し、再発・転移を認めた症例の5年累積生存率は57.9%であり、やはり再発転移を認めた症例の予後が著しく悪いことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
病理標本の貸し出しなどにより、対象症例すべての手術標本の病理検査所見が確認できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
手術標本より、さらに病理組織学的所見を検索し再発・転移および予後に影響を与える因子を統計解析により明らかにする。また、同時に腫瘍浸潤先端部における線維化や脂肪変性、PD-L1発現率を確認する。レーザーマイクロダイセクションにより腫瘍浸潤先端部の組織を採取し、遺伝子発現の度合いの確認を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たな病理標本作成や免疫染色ができなかったため、免疫染色用の試薬などに割り当てておいた消耗品の購入を行わなかった。次年度に、これらを進める予定である。
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