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2023 年度 実績報告書

骨内における上皮間葉転換のメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K10060
研究機関北海道大学

研究代表者

田中 宗一  北海道大学, 大学病院, 助教 (20548200)

研究分担者 吉村 善隆  北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (30230816) [辞退]
東野 史裕  北海道情報大学, 医療情報学部, 教授 (50301891) [辞退]
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード上皮間葉転換 / ユビキチン化 / ビスホスホネート
研究実績の概要

ビスホスホネート(BP)は、骨粗鬆症治療や癌の骨転移治療に用いられており、近年乳がん患者の予後を改善することが大規模臨床試験において示された。しかしながらBPは投与後速やかに排泄され、生体内ではそのほとんどが骨に蓄積し、破骨細胞を特異的に抑制することで骨吸収阻害効果を発揮することから、軟組織臓器において直接的な抗がん効果を発揮することは考えづらい。このことから、BPによるヒト乳がん患者の予後改善効果は、骨環境を抑制することで発揮されている可能性を推測した。骨には様々なサイトカインが豊富に含まれ骨吸収が生じるとそのサイトカインは骨髄中に放出されることが明らかになっているが、なかでもTGF-βは転移促進プログラムである上皮間葉転換(EMT)を誘導することが示されている。そのため本研究においては、BPが骨吸収抑制作用によって骨髄中におけるがんのEMTを抑制する可能性について検討を進めた。まずEMTが骨髄中で促進されるか否かについてinvivoで検討した。ヒト乳がん細胞MCF7を乳腺部皮下ならびに脛骨骨髄中に同時接種し腫瘍増大後EMT促進因子Snailの発現を乳腺部腫瘍と比較しながら測定した。その結果、乳腺部腫瘍に比較して骨髄内腫瘍においてSnail発現が増加し、それに並行して上皮マーカーE-cadherinの発現が減少した。この結果より骨髄はがん細胞のEMTに好都合な環境であることが示唆された。またBPの培養細胞への添加がSnailをユビキチンプロテアソーム系での分解を促進するといった直接的なEMT抑制効果を有することも見出しており、そのメカニズムはSnailに直接的に結合しそのユビキチン化を阻害するUSP45の活性を抑制することが生化学的解析によって示された。骨におけるがん細胞のEMTは現在まで示されておらず、本研究の進展は新たな組織特異的EMTを報告できると考えている。

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公開日: 2024-12-25  

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