研究実績の概要 |
本研究では乳癌細胞を脛骨の骨髄腔に注入し作成した骨痛モデルマウスを用いて, 癌性骨痛のメカニズムを検証した. 乳酸トランスポーターであるモノカルボン酸トランスポーター4 (MCT4)の発現を抑制した癌細胞を骨髄内に移植したマウスは, 通常の癌細胞を注入したマウスと比べて, DRGにおけるERKならびにCREBのリン酸化が減弱し, 骨痛が減少することが明らかになった. さらにこのモデルマウスの骨髄内の乳酸濃度が減少することが明らかになった. in vitroにおいて知覚神経における乳酸のオーファン受容体であるGタンパク質共役受容体81(GPR81)発現を抑制すると, 乳酸によるERKリン酸化と細胞内へのCa2+流入が減少し, 知覚神経細胞の興奮が抑制されることが明らかになった. これらの結果から, MCT4を介して乳癌細胞から放出された乳酸は, 感覚神経細胞のGPR81の活性化を介して骨痛を誘導することが示唆された. 上記の内容をInternational journal of oncology 誌に掲載した.
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