本研究では,網羅的遺伝子解析からがん特異的微小環境である低酸素環境下で働く遺伝子群と,遺伝毒性スクリーニングから選び出されたがん細胞の生死に直接関わる遺伝子群を掛け合わせて,がん治療の分子標的候補として39遺伝子を選び出した。さらに,ウェブ解析ツールにより,頭頸部がんにおいてその遺伝子の高発現が不良予後と関連することが示された3遺伝子に絞り込んだ。そのうち一つは既知のEGFR遺伝子であったが,PおよびP2(仮称)遺伝子に関しては,論文報告が少なく,特にがんとの関連性については殆ど見当たらないなど,まだまだ注目されていないことが明らかとなり,新規治療標的分子となり得る可能性が高いことが示された。
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