研究課題
がんの微小環境はがん細胞の増殖・浸潤・転移のみならず、最近では治療抵抗性に深く関わることがよく知られている。申請者らはperoxidasin(PXDN)が口腔癌局所において微小環境の形成に寄与する可能性があることを見いだし、研究を続けている。昨年度までに、PXDNに関連した新たな転写因子として同定し、細胞周期を調節する可能性があることを見いだしている。今年度は分子Xと口腔癌の微小環境構築能との関連に焦点を絞って研究を進めた。血管内皮細胞やリンパ管内皮細胞株とXの発現を抑制した複数の口腔癌細胞株との共培養をおこなったが、内皮細胞の増殖能や遊走能、内皮細胞と口腔癌細胞株との接着能に有意な変化は認められず、分子X自身に血管新生やリンパ管新生を誘導する能力を見いだすことが出来なかった。しかしながら、ELISAにより口腔癌細胞株の培養上清から分子Xが検出され、分泌タンパクであることが明らかとなった。健常人および口腔癌患者から採取された血液を用いての検討において、健常人と比較して口腔癌患者由来の血液検体で分子Xの高い分泌レベルが確認された。なお、少数ではあるが唾液を用いて同様の解析を行ったところ、血液ほどではないものの、やはり口腔癌患者由来の検体で分泌レベルが高いことが示された。以上より、細胞周期調節因子であるPXDNに関連した分子Xは。口腔癌において直接的に脈管新生を誘導する作用は乏しいものの、分泌タンパクとして機能することで口腔癌細胞自身にオートクライン的に作用するだけでなく、間質組織に分泌されることでパラクライン的に口腔癌に作用する可能性が示唆された。今後は、PXDNに関連したこれらのシグナルを標的とした口腔癌の新たな診断、治療システムの開発が期待される。
すべて 2024
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology
巻: 36 ページ: 657~659
10.1016/j.ajoms.2023.11.009
PLOS ONE
巻: 19 ページ: e0300446
10.1371/journal.pone.0300446
Discover Oncology
巻: 15 ページ: 714
10.1007/s12672-024-01611-y