研究課題/領域番号 |
21K10078
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
茂山 幸代 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10794480)
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研究分担者 |
古株 彰一郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (30448899)
原野 望 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (50423976)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 悪性黒色腫 / BMP / Wnt4 |
研究実績の概要 |
悪性黒色腫(メラノーマ)は口腔粘膜にも発生する悪性度の高い悪性腫瘍であり,肺や骨などに容易に転移するため予後が悪い.近年,抗PD-1抗体nivolumabなどの免疫チェックポイント阻害剤の登場により治療成績が向上してきたが,これら薬剤が免疫関連有害事象をもたらしたり,適応症例が限られたりするなど依然として新たな治療法を確立する必要性がある.BMPはTGF-βスーパーファミリーに属するサイトカインで発生や細胞増殖・分化,アポトーシスなどのさまざまな生命現象に関与する.ヒトメラノーマでは正常な表皮メラノサイトよりもBMPやBMP受容体の発現量が増加し,さらに,BMPはメラノーマのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を活性化して,細胞移動や浸潤を促進することも報告されている. Wntシグナルは,古くから多く種類のがんと関連することが知られている.Wnt経路はβ-カテニンを介するβ-カテニン経路とβ-カテニン介さないβ-カテニン非依存性経路に大別される.β-カテニン経路の活性化はメラノーマ初期の増殖を促進する.一方,β-カテニン非依存性経路の活性化はメラノーマの浸潤を促進することで悪性度を高める. Wnt4は19種類あるWntファミリーの1つで,β-カテニン経路とβ-カテニン非依存性経路の両方ともを活性化する.さらに,さまざまな細胞でWnt4はBMP2の下流で働くことが知られることからWnt4に着目した.するとTCGAの解析により,メラノーマ患者102人(女性42名,男性60名)の全19,670の遺伝子の発現とメラノーマの生存率との相関を調べた結果, Wnt4の発現量と生存率の低さが13,491遺伝子中95番目に強く相関していることが明らかとなった.すなわち,Wnt4はWntシグナルとBMPシグナルをつなぐ因子である可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
途中で育休に入ってしまい,当初の予定よりも研究計画が進まなかったため.
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今後の研究の推進方策 |
育休明けより順次研究再開予定で,出来るだけ早い時期に動物実験に入りたい.
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