近年の再生医療の躍進は目覚ましいものがあるが、腺機能を回復させる根本的な治療法はなく、唾液腺組織そのものを修復する再生医療の確立が期待されている。 再生医療を実現するためには発生生物学の研究とともに再生生物学を発展させることが重要であり、唾液腺の発生過程への知見を深めることが求められている。本研究課題を通して唾液腺および外分泌腺の初期発生過程を明らかにすることに成功した。本研究に用いたTRiCK(TRiple Coloured germ layer Knock-in)マウスは、初期胚を構成する三胚葉を独立かつ同時に標識可能な系統で、外胚葉マーカーSox1、中胚葉マーカーT(Brachyury)、内胚葉マーカーSox17を発現する胚葉がラベリングされている。TRiCKマウスを用いて神経外胚葉由来細胞が神経だけでなく、上皮組織に発現していることを明らかにした。 本研究内容はThe Germinal Origin of Salivary and Lacrimal Glands and the Contributions of Neural Crest Cell-Derived Epithelium to Tissue Regeneration としてInternational Journal of Molecular Sciences 誌に採択された。その他にもGorden research Conference、International Association for Dental Research (IADR) など国際学会での発表を行った。さらに日本国内では日本口腔科学会でポスター賞を受賞するなど、多くの成果が得られた。
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