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2022 年度 実施状況報告書

幼少期ストレスによる頭頸部疼痛発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K10123
研究機関日本大学

研究代表者

澁田 郁子 (鈴木郁子)  日本大学, 歯学部, 専修研究員 (60459906)

研究分担者 篠田 雅路  日本大学, 歯学部, 教授 (20362238)
三枝 禎  日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50277456)
人見 涼露  日本大学, 歯学部, 講師 (70548924)
林 良憲  日本大学, 歯学部, 准教授 (80582717)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード幼少期ストレス / 母子分離ストレス / 一次侵害受容ニューロン / 三叉神経節
研究実績の概要

新生児期の外傷性ストレスは成人後の感覚神経系に様々な変化を起こし異常疼痛の原因となるといわれているが、詳細は不明である。本研究では、新生児期外傷モデルラットにおける成体期顔面皮膚切開後の機械痛覚の変調に対するNav1.8の役割について検討した。
生後4日目の雄性SDラット口髭部皮膚に切開縫合し、さらに生後7週目(7W)に口髭部皮膚を同様に再切開縫合した再切開群、7Wにのみ切開縫合した成体期切開群、縫合のみを行ったsham群を用いた。7Wに口髭部皮膚に機械刺激を与え、再切開後14日目(D14)まで、機械逃避反射閾値を経日的に測定した。D14に口髭部投射三叉神経節(TG)ニューロンでのTTX耐性電位依存性ナトリウムチャネル (Nav1.8) およびC-C chemokine receptor 2 (CCR2)発現を解析した。さらに、Nav1.8阻害薬を切開部皮下に投与し、投与後30分間隔で機械逃避反射閾値を測定した。また、三叉神経節におけるC-C chemokine ligand 2 (CCL2)の動態も解析した。
再切開群では、成体期切開群に比べ機械逃避反射閾値の低下が亢進し、小型から中型の口髭部投射Nav1.8陽性TGニューロン数の増加が亢進した。一方、sham群においては口髭部皮膚に熱・機械痛覚過敏は生じなかった。また、再切開群においてNav1.8阻害により機械逃避反射閾値低下の亢進が抑制された。三叉神経節内のマクロファージにCCL2が発現し、CCR2の阻害は口髭部投射Nav1.8陽性TGニューロン数の増加を抑制した。
新生児期切開による成体期切開後の機械痛覚過敏亢進には、CCL2シグナルを介した口髭部投射TGニューロンでのNav1.8発現増加によるニューロン活動亢進が関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに、研究がおおむね順調に進展している。これまでのデータをまとめて論文執筆および投稿し、今春に受理された。当講座では、新たに研究協力者(大学院生3名)が加わり組織の摘出および前処理の協力を仰ぐことができるようになったため,効率的に発現量の定量解析が可能となり、順調に研究が進展できたと考えられる。

今後の研究の推進方策

研究計画に従って、さらに研究を進める予定である。本年度は母子分離ストレスによって成熟期に三叉神経節内の衛星細胞活性化がおこるのか、衛星細胞活性化はGap junctionを介して三叉神経節全域に伝播するのか,さらに空間的および時間的にどのような伝播様式を呈するのか、三叉神経節内の活性化衛星細胞からどのような分子が放出され,どの分子が一次侵害受容ニューロンの興奮性を増強するのか、一次侵害受容ニューロンの興奮性増強がどのような頭頸部痛覚異常に関与するか、を明らかにしていく予定である。また、大学院生の協力を仰ぎ、効率的に実験を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

学会出席のための旅費が必要なくなったため、次年度使用額が生じた。次年度への繰越金は令和5年度の助成金と合わせて、衛星細胞の免疫組織化学染色に使用する各種抗体やWestern blot法による定量解析のための試薬等の物品費に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Neonatal Injury Modulates Incisional Pain Sensitivity in Adulthood: An Animal Study2023

    • 著者名/発表者名
      Soma Kumi、Hitomi Suzuro、Hayashi Yoshinori、Soma Chihiro、Otsuji Jo、Shibuta Ikuko、Furukawa Akihiko、Urata Kentaro、Kurisu Ryoko、Yonemoto Mamiko、Hojo Yasushi、Shirakawa Tetsuo、Iwata Koichi、Shinoda Masamichi
    • 雑誌名

      Neuroscience

      巻: 519 ページ: 60~72

    • DOI

      10.1016/j.neuroscience.2023.03.018

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Decreased PPARgamma in the trigeminal spinal subnucleus caudalis due to neonatal injury contributes to incision-induced mechanical allodynia in female rats2022

    • 著者名/発表者名
      Otsuji Jo、Hayashi Yoshinori、Hitomi Suzuro、Soma Chihiro、Soma Kumi、Shibuta Ikuko、Iwata Koichi、Shirakawa Tetsuo、Shinoda Masamichi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 19314

    • DOI

      10.1038/s41598-022-23832-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考] 日本大学歯学部生理学講座

    • URL

      http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/g.physiology/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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