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2022 年度 実施状況報告書

唾液腺細胞のCdc42依存性恒常性維持機構に着目した、新規放射線防御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K10126
研究機関朝日大学

研究代表者

設楽 彰子  朝日大学, 歯学部, 准教授 (30508718)

研究分担者 佐藤 慶太郎  明海大学, 歯学部, 准教授 (10549041)
落合 隆永  朝日大学, 歯学部, 准教授 (20410417)
大野 雄太  朝日大学, 歯学部, 講師 (30796644)
長瀬 春奈  朝日大学, 歯学部, 助教 (40888799)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード放射線 / Cdc42 / 唾液腺 / ドライマウス
研究実績の概要

我々はまず放射線照射による細胞反応を解析した。C57BL/6マウスに全身麻酔をかけた後、卓上型X線照射装置 MX-80Laboを用いて、左側顎下腺・耳下腺領域に9GyのX線を照射した。頭頸部以外はタングステンシートを用いて放射線を遮蔽した。放射線照射1週間後に全身麻酔下でピロカルピン刺激による唾液分泌を測定した。唾液分泌量はピロカルピン刺激後2分おきに30秒間の唾液分泌量を計測した。その結果、放射線照射あり・なしで唾液分泌量に有意差はなかった。
Mist1CreERT2マウスは、Mist1遺伝子領域をcreERT2融合遺伝子に置き換えたマウスである。Mist1遺伝子は唾液腺の腺房細胞、小腸のパネート細胞など、ほとんどの漿液性分泌細胞でも発現している。我々はこのマウスとCdc42 floxマウスを掛け合わせたMist1-Cdc42 floxマウスを作成した。このマウスはタモキシフェン誘導性のCre媒介組換えにより、Cdc42 floxed配列が唾液腺腺房細胞(Cre発現細胞)で欠失する。
FM4-46はスチリル色素で、クラスリン依存性エンドサイトーシスあるいはバルクエンドサイトーシスを検出できる。我々は野生型マウスまたはCdc42ノックアウトマウスより摘出した耳下腺に対してFM4-64FXを1分、5分、10分取り込ませた。その後組織を固定し、共焦点顕微鏡(Leica TCS SP8)にて蛍光を観察した。その結果Cdc42ノックアウト細胞ではエンドサイトーシスが促進されることが明らかになった。エンドサイトーシスは障害を受けた細胞膜を修復する働きがある。これらの結果から、Cdc42はエンドサイトーシスを調節することにより、放射線照射により障害を受けた細胞膜を修復する役割がある可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

最初の半年間、育休のため自分で実験する時間が取れなかったため。また予算の関係上、卓上型X線照射装置 MX-80Laboの 購入が遅れたため、予定していた実験の開始に遅延が生じた。

今後の研究の推進方策

野生型(WT)とCdc42ノックアウト(KO)マウスの顎下腺に放射線を照射し、唾液分泌量を調べ、放射線照射の腺房細胞外分泌能への影響を調べる。さらに免疫染色、ウエスタンブロッティングによりアポトーシス、オートファジー活性のほか、エンドサイトーシスについて評価する。

次年度使用額が生じた理由

卓上型X線照射装置 MX-80Laboを大学の予算で購入してもらえることになったため。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Insertion of circularly permuted cyan fluorescent protein into the ligand-binding domain of inositol 1,4,5-trisphosphate receptor for enhanced FRET upon binding of fluorescent ligand2022

    • 著者名/発表者名
      Jahan Azmeree、Akter MST Tahmina、Takemoto Kiwamu、Oura Tai、Shitara Akiko、Semba Shingo、Nezu Akihiro、Suto Satoshi、Nagai Takeharu、Tanimura Akihiko
    • 雑誌名

      Cell Calcium

      巻: 108 ページ: 102668~102668

    • DOI

      10.1016/j.ceca.2022.102668

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Retinal damage alters gene expression profile in lacrimal glands of mice2022

    • 著者名/発表者名
      Ohno Yuta、Yako Tomohiro、Satoh Keitaro、Nagase Haruna、Shitara Akiko、Hara Hideaki、Kashimata Masanori
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences

      巻: 149 ページ: 20~26

    • DOI

      10.1016/j.jphs.2022.02.007

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Loss of Cdc42 in exocrine glands decreases saliva secretion, but increases lacrimal fluid secretion.2023

    • 著者名/発表者名
      Haruna Nagase, Yuta Ohno, Keitaro Satoh, Masanori Kashimata, Akiko Shitara
    • 学会等名
      Gordon Research Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Arginase 1 may regulate the lacrimal and saliva secretion in mice2023

    • 著者名/発表者名
      Yuta Ohno, Keitaro Satoh, Haruna Nagase, Akiko Shitara, Tetsuji Nakamoto, Masanori Kashimata
    • 学会等名
      Gordon Research Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 低分子量Gタンパク質Cdc42はRhoAをネガティブに制御し、唾液腺腺房細胞の形成を促進する2022

    • 著者名/発表者名
      設楽彰子, 長瀬春奈, 大野雄太, 柏俣正典
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会
  • [学会発表] 上皮極性形成に必須のCdc42は唾液と涙液の分泌において反対の役割を果たす2022

    • 著者名/発表者名
      長瀬春奈, 大野雄太, 佐藤慶太郎, 柏俣正典, 設楽彰子
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会 年会
  • [学会発表] 唾液腺と涙腺におけるCdc42は、上皮細胞の極性形成において同一の役割を果たすが、分泌機構においては反対の役割を担っている。2022

    • 著者名/発表者名
      長瀬 春奈, 大野 雄太, 佐藤 慶太郎, 柏俣 正典, 設楽 彰子
    • 学会等名
      日本薬理学会 96回年会
  • [学会発表] 低分子量Gタンパク質Cdc42は唾液腺腺房細胞の形成を制御する2022

    • 著者名/発表者名
      設楽彰子, 長瀬春奈, 大野雄太, 柏俣正典
    • 学会等名
      第64回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] マウス唾液腺・涙腺におけるアルギナーゼ1の外分泌能調節メカニズムの解明2022

    • 著者名/発表者名
      大野雄太, 長瀬春奈, 佐藤慶太郎, 設楽彰子, 中本哲自, 柏俣正典
    • 学会等名
      第64回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] 低分子量Gタンパク質Cdc42は耳下腺と涙腺で異なるメカニズムによりAQP5発現量を制御する2022

    • 著者名/発表者名
      長瀬春奈, 大野雄太, 佐藤慶太郎, 柏俣正典, 設楽彰子
    • 学会等名
      第64回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] 公開 マウス網膜障害後の涙腺遺伝子発現プロファイル2022

    • 著者名/発表者名
      大野雄太, 矢古宇智弘, 佐藤慶太郎, 長瀬春奈, 設楽彰子, 原英彰, 柏俣正典
    • 学会等名
      第95回日本薬理学会年会

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公開日: 2023-12-25  

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