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2023 年度 実施状況報告書

唾液腺細胞のCdc42依存性恒常性維持機構に着目した、新規放射線防御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K10126
研究機関朝日大学

研究代表者

設楽 彰子  朝日大学, 歯学部, 教授 (30508718)

研究分担者 佐藤 慶太郎  明海大学, 歯学部, 准教授 (10549041)
落合 隆永  朝日大学, 歯学部, 准教授 (20410417)
大野 雄太  朝日大学, 歯学部, 講師 (30796644)
長瀬 春奈  朝日大学, 歯学部, 助教 (40888799)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードCdc42 / 唾液腺 / 細胞極性 / 小胞輸送
研究実績の概要

これまでの研究で、Cdc42KOにより腺腔側膜の形態が変化し、Cdc42は腺房細胞の極性構造を維持する上で重要であることが示された。そこで、Cdc42が腺房細胞の極性構造を維持する仕組みを明らかにするために、共焦点顕微鏡を用いて、細胞の内部構造を詳細に解析した。その結果、腺腔近辺への小胞が集積していることが明らかになった。小胞が集積した理由を明らかにするため、さまざまな小胞輸送経路のマーカータンパク質で免疫染色を行なった。その結果、リサイクリングエンドソームのマーカータンパク質であるRab11Aが、集積した小胞上に見出された。Rab11Aは分子のリサイクルを制御するだけでなく、上皮細胞においては、腺腔側膜の形成に必須の分子である。我々は集積した小胞が腺腔側形成に関わるのではないかと考え、次に腺腔側膜のマーカータンパク質であるアクアポリン5の抗体で免疫染色を行なった。その結果、Rab11同様、集積した小胞上に局在することが示された。これらの結果から、Cdc42のノックアウトにより腺腔側膜の形成・維持に関わる小胞のリサイクル経路が阻害されたことにより、腺腔側膜の形態変化が惹起されたことが示唆された。
そこで次に、Cdc42のノックアウトにより小胞のリサイクル経路が阻害された仕組みを明らかにするため、ウエスタンブロッティングにより輸送に関連するタンパク質の発現量を調べた。その結果、SNAREタンパク質の一種であり、エンドソームの輸送に重要な役割を果たすVAMP4が減少することが明らかになった。VAMP4は神経の樹状突起において、シナプス小胞のリサイクリングを促進し、神経伝達を制御する。よって、唾液腺腺房細胞においてCdc42は、VAMP4を介してリサイクリングエンドソームの輸送を制御し、腺腔側膜の形成、維持において重要な役割を果たすのではないかと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究代表者が産休及び育休を取得したため、プロジェクトの進行が一時的に遅れました。これにより、計画していた実験スケジュールの調整が必要となり、研究活動の一部を次年度に延期することになりました。 また、世界的なパンデミック状況下で、安全対策を優先するために動物実験が制限されました。これにより、計画されていた実験の多くが予定通りに進行することができず、研究成果の取りまとめに遅れが生じています。

今後の研究の推進方策

次年度は研究成果の整理が完了次第、速やかに学術誌への投稿を行い、研究の普及に努めます。投稿に伴う論文投稿費等にこれらの予算を充てることで、研究成果の発表を効果的に進めます。また、必要に応じて、追加実験を行う予定です。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者が産休及び育休を取得したため、プロジェクトの進行が一時的に遅れました。これにより、計画していた実験スケジュールの調整が必要となり、研究活動の一部を次年度に延期することになりました。 また、世界的なパンデミック状況下で、安全対策を優先するために動物実験が制限されました。これにより、計画されていた実験の多くが予定通りに進行することができず、研究成果の取りまとめに遅れが生じています。
次年度は研究成果の整理が完了次第、速やかに学術誌への投稿を行い、研究の普及に努めます。投稿に伴う論文投稿費等にこれらの予算を充てることで、研究成果の発表を効果的に進めます。また、それに伴う追加実験に使用する予定です。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)

  • [国際共同研究] National Cancer Institute(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      National Cancer Institute
  • [雑誌論文] Loss of Cdc42 in Exocrine Acini Decreases Saliva Secretion but Increases Tear Secretion-A Potential Model of Exocrine Gland Senescence.2023

    • 著者名/発表者名
      Nagase H, Shitara A, Ohno Y, Satoh K, Kashimata M
    • 雑誌名

      Int J Mol Sci.

      巻: 24 ページ: 17220

    • DOI

      10.3390/ijms242417220.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Spatial and Temporal Coordination of Force-generating Actin-based Modules Drives Membrane Remodeling In Vivo2023

    • 著者名/発表者名
      Marco Heydecker, Akiko Shitara, Desu Chen, Duy Tran, Andrius Masedunskas, Muhibullah Tora, Seham Ebrahim, Mark A Appaduray, Jorge Luis Galeano Nino, Abhishek Bhardwaj, Kedar Narayan, Edna C Hardeman, Peter W Gunning, Roberto Weigert
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1101/2023.12.04.569944

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Cdc42 Plays Opposite Roles in Different Exocrine Tissues2023

    • 著者名/発表者名
      Haruna Nagase, Yuta Ohno, Keitaro Satoh, Masanori Kashimata, Akiko Shitara
    • 学会等名
      EMBO WS “Trans-Scale Biology using exotic non-model organisms”
    • 国際学会
  • [学会発表] 腺房細胞特異的Cdc42欠損マウスにおける涙液と唾液の分泌システムの相違2023

    • 著者名/発表者名
      長瀬春奈, 大野雄太, 佐藤慶太郎, 柏俣正典, 設楽彰子
    • 学会等名
      第65回歯科基礎医学会学術大会
    • 国際学会
  • [学会発表] Cdc42 Promotes Apical Membrane Formation by Regulating the Transport of Rab11a-positive Vesicles2023

    • 著者名/発表者名
      Akiko Shitara, Haruna Nagase, Yuta Ohno, Masanori Kashimata
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 国際学会
  • [学会発表] 低分子量Gタンパク質Cdc42はRab11aを含む輸送小胞を介して唾液腺腺房細胞の形成を制御する2023

    • 著者名/発表者名
      設楽彰子, 長瀬春奈, 大野雄太, 柏俣正典
    • 学会等名
      第67回日本唾液腺学会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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