研究課題/領域番号 |
21K10127
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
中野 旬之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60511730)
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研究分担者 |
井上 和也 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (00761503)
山口 誠二 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (50726198)
植野 高章 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (60252996)
三島 克章 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60304317)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | チタン / 混酸処理 / ヨウ素処理 / 抗菌性 |
研究実績の概要 |
われわれは,NaOH-CaCl2-加熱-ICl3処理(ヨウ素処理)によりヨウ素含有カルシウム欠損チタン酸カルシウムを形成したチタン(CaI-Ti)が,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌などに抗菌性を示すことを明らかにしている.一方,チタンを混酸処理(66.3%H2SO4,10.6%HCl)することで骨形成関連細胞増殖・分化に適するマイクロスケールの凹凸が生じることも明らかにしている.しかし,CaI-Tiの口腔内常在菌に対する抗菌活性は未だ不明であり,混酸処理の影響も明らかでない.本研究は,混酸処理後にヨウ素処理を施したチタン(MCaI-Ti)の表面物性を調べ,口腔内細菌であるStreptococcus mitisとPrevotella intermediaに対する抗菌活性を評価してCaI-Tiと比較した. 材料および方法:純チタン板(純度>99.5%)にヨウ素処理あるいは混酸-ヨウ素処理を施し,その表面を走査型電子顕微鏡,共焦点レーザー顕微鏡,X線回折装置,X線光電子分光分析装置により分析、また水接触角を計測した.擬似体液浸漬によりアパタイト形成能を評価し,リン酸緩衝生理食塩水中へのイオン溶出量を誘導結合プラズマ発光分光分析で測定した.S.mitisおよびP.intermediaに対する抗菌性をISO22196に準拠して評価した. 結果:MCaI-Tiはマイクロスケールの凹凸構造上にナノスケールのネットワーク構造をもつ表面層を形成し,表面層の厚み1.5μm及び平均表面粗さ0.35μmはいずれもCaI-Tiよりも有意に高い値を示した.さらに,1か月後も接触角7.5°と高い親水性を維持し,アパタイト形成,カルシウム及びヨウ素イオンの溶出,およびP.intermediaに対する抗菌活性のいずれにおいてもCaI-Tiと比較して向上した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
チタン板にヨウ素処理を施した時の抗菌性に関して論文投稿を行っており、概ね順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
プレート感染モデルラットを確立し、ヨウ素処理したチタン板の抗菌性について検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、昨年度までで準備した物品で研究を遂行することが可能であり、論文投稿を行った。論文投稿後は、動物モデルの確立を行っており、次年度使用額が生じた。研究費は、動物モデルを確立するためのラットおよび試薬等の購入および、研究結果を論文投稿するために用いる。
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