研究課題/領域番号 |
21K10129
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
矢原 寛子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 日本学術振興会 特別研究員(RPD) (10757488)
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研究分担者 |
矢原 耕史 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 室長 (70542356)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 薬剤関連顎骨壊死 / MRONJ / Actinomyces / 微生物叢 |
研究実績の概要 |
本年度は、先行研究で薬剤関連顎骨壊死MRONJ(Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw)と有意な関連の示された微生物(嫌気性菌Actinomyces属)を患者の臨床検体から分離するために必要な、培地の作成と嫌気培養のプロトコール開発に注力した。まず健常者1名(口腔細菌叢に占めるActinomycesの割合は3%程度)を対象にフロックスワブ(コパン社)で歯頸部をぬぐった検体(歯肉溝滲出液)の採取を行い、増菌培養(KBM嫌気性菌用半流動培地またはK1, Hチオグリコレートブロスで1週間)を経て嫌気培養(コロンビア培地、HKブルセラ培地、またはBD製Actinomycete Isolation Agarで1週間)を試したが、いずれの組み合わせでも成功しなかった。本邦でActinomycesに最も詳しい複数の専門家と議論を重ねる中で、Actinomyces用の培地作成は非常に難しいこと、特に臨床検体からのActinomycesの分離培養については国内に専門家がいないことが分かったため、嫌気性菌を扱った経験を有する細菌検査技師の協力を仰ぎ、試行錯誤しながら進めた。そして、常在菌の増殖を抑える一方でActinomycesを分離するための培地の成分を調整した結果、培地の生えてきたコロニーを質量分析で菌種同定し、確かにActinomycesを分離できることまで確認した。また、分離された菌株を、グリセロール50%BHIブロスに-80℃で保存した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り、Actinomycesを分離するための培地作成は想像以上に難しいことが分かったが、試行錯誤を経て、健常者サンプルから菌株を分離同定できる培地の作り方を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
まずActinomycesの標準株を入手し、標準株を用いたテストを通じて培地の成分調整と改善を進める。その一方で、患者の臨床検体を採取して行う多施設共同臨床研究を開始するために、倫理審査等の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
培地の成分調整作業過程で若干の保留が生じた。保留分は令和4年度以降の培地の成分調整に使用する。
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