研究課題/領域番号 |
21K10134
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
平井 秀明 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60598895)
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研究分担者 |
加納 嘉人 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任助教 (10633125)
原田 浩之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40343149)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ゲノム検査 / 遺伝子変異 / 口腔癌 / 多発癌 / がんゲノム医療 |
研究実績の概要 |
口腔癌の危険因子として、喫煙、飲酒、義歯などによる慢性的な刺激、ウイルス感染などが挙げられているが科学的根拠があるものは少ない。複数の因子により遺伝子異常が生じ、これらが蓄積することが発癌に関与すると考えられている。近年、頭頸部領域の多発癌の発生頻度が急増している。多発癌は同一臓器に複数発生する癌であり、口腔第1癌の加療後、口腔内の他部位や舌や頬粘膜といった同一臓器の反対側に第2癌、第3癌が発生する症例がまれに認められる。これらの口腔多発癌症例は女性に多く認め、舌よりも歯肉や頬粘膜に発生しやすいなど、通常の口腔単発癌症例の特徴である男性、舌に多いという特徴とは異なる特徴を持っている。 このような臨床経験より、口腔多発癌症例は通常の口腔癌とは異なる発生因子、特に遺伝学的な異常が大きく関与しているのではないか、という仮説を考えた。本研究の目的は、口腔多発癌症例の手術標本を用いて遺伝子解析を行い、多発癌に特異的な遺伝子異常を探索することである。これにより解明した遺伝子変異に基づく治療法の選択や予後予測は、希少がんである口腔癌の治療方針決定に多大な影響をもたらす。 2021年度は、遺伝子解析を行う外部委託業者の選定を行った。当初の見積もりよりも解析費用が非常に高く、現在交渉中である。また東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会へ新規申請書類の提出を行い、承認された。本年度も口腔多発癌症例が2例あり、過去の症例の中からも該当症例の選定を行い、解析費用の目途が付き次第解析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ下において大学では、今までよりも研究への比重が高まり、東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会への新規申請が増加した。そのため、倫理審査委員会への申請から委員会に諮られるまでに4か月以上を要する事態となり、研究そのものが進められない状態であった。また現在はゲノム解析費用に関して企業と交渉を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
精度を向上させるために、予算内で多くのゲノム解析が出来るよう、委託業者との価格交渉を行う。交渉後は多発癌患者に同意を得、順次ゲノム解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
倫理委員会での承認に時間を要し、ゲノム解析が行えなかったため当該助成金が生じた。本年度はゲノム解析を行っていくため当該助成金も含めた使用計画となる。
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