最終年度では、抗Claudin-4細胞外ドメイン抗体(4D3)と抗がん剤(5FU)および分子標的薬(セツキシマブ)との相乗効果について検討を行った。4D3と5FUとの併用により、5FUの単剤に比較に35%の上乗せ効果が認められた。セツキシマブについても4D3との併用により25%の上乗せ効果が認められた。さらにスフェアアッセイにより、併用効果を検討すると5FUでは40%、セツキシマブでは31%の上乗せ効果が見られ、2Dよりも3Dでより併用効果が強く認められた。スフェア内への薬剤移行は、5FUでは1.8倍に、セツキシマブでは1.6倍に増大していた。さらに、スフェア形成能も抗癌剤単独に比較し併用では5FUでは1.6倍、セツキシマブでは1.4倍に亢進し、幹細胞性抑制効果も促進されることが認められた。これらのことから、生体内においても、4D3の併用は抗がん剤の腫瘍内移行を促進し、高度の抗腫瘍効果と抗がん幹細胞作用を示すことが示唆された。
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