これまでに口腔扁平苔癬(OLP)を疑う患者に対して、生検を行い病理診断にて口腔扁平苔癬の確定診断がついた患者のデータを収集し、8症例を集めてHE染色を行った。また、IL-17、IFN-γ、TGF-βの免疫染色を施行した。対照群として、抜歯患者の炎症性歯肉を用いた。免疫染色の結果、対照群ではIL-17およびIFN-γの染色が強いシグナルであったのに対して、口腔扁平苔癬患者群ではTGF-βのシグナルが強く出ていたことが明らかとなった。 Wistarラットに対して三種混合麻酔下にて、両側の頬部粘膜へ薬剤を50 μL粘膜下に投与する実験を行った。薬剤として、acetic acid、dextran sulfate sodium、trinitrobenzene sulfonic acidおよびoxazoloneを使用し、頬粘膜を採取してHE染色を行った。DSSについて、筋層にも炎症が浸潤しており、細血管があり炎症性肉芽組織が認められた。形質細胞主体の炎症反応で炎症は惹起されているが、扁平苔癬様ではない。Acetic Acidでは、他の薬剤に比べ反応が乏しく、針の注入による炎症は起こっているが、薬剤の反応としては乏しかった。Oxazoloneでは、菌塊が目立ち、赤血球の漏出が認められた。急性炎症の様な所見で反応は最も激しく、好酸球が多かった。好中球・好酸球・プラズマ細胞にかけて多彩な炎症所見が認められた。TNBSにおいては、コントロール/塗布の差はあるが、どちらにも炎症は認められた。肉芽様で紡錘形細胞も認められ、Lichen様ではなく、リンパ球主体の炎症であった。ヨードアセタミドでは、上皮の変化が激しく、Lichen様変化は乏しい。いずれの薬剤においても対照群との比較で炎症組織の相違を見出すことはできなかった。
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