レジンは医療現場において歯科治療や人工関節、日常生活においてジェルネイルなどに広く 利用され、直接生体に触れる機会は多い。その一方で、副作用であるレジンアレルギーが多数報告され大きな問題となっているが、未だに発症機序は明らかになっておらず適切な治療 法も確立されていない。レジンは、細胞刺激性は強いが、アレルゲンとしての強さは弱いた め、有効な動物モデルがなく、レジンアレルギーの研究はほとんど進んでいない。申請者らは、レジンの細胞刺激性に着目して、レジンがアレルゲンとしてではなく免疫増強剤として 金属アレルギーを悪化させることを明らかにしてきた。そこで本研究では、 (1)レジンアレルギーのマウスモデルの確立 (2)レジンによる免疫増強効果の機序解明により、 「アレルゲン」および「免疫増強剤」としての2つの新しい視点から、レジンによるアレルギーの病態および機序を明らかにし、予防法および治療法を提供することを目的とする。 当該年度は、レジンのアジュバント機序解明を中心に取り組んだ。FITCをアセトン単独、アセトンとフタル酸ジブチルを1:1またはアセトンとレジンを1:1に溶解し腹部に塗布した後に、所属リンパ節中の樹状細胞を解析した。塗布24時間後の樹状細胞の割合は、アセトン単独と比較して、フタル酸ジブチルおよびレジンに溶解した場合に増加した。また、樹状細胞の活性化マーカーであるCD86の発現も上昇した。
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