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2021 年度 実施状況報告書

レチノイン酸シグナルと相互作用を持つ顎顔面形成に関わる新規病的因子の解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K10159
研究機関大阪大学

研究代表者

大原 春香  大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (40754726)

研究分担者 山城 隆  大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70294428)
黒坂 寛  大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (20509369)
犬伏 俊博  大阪大学, 歯学研究科, 講師 (30550941)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード顎顔面形成不全 / レチノイン酸シグナル / Rdh10 / 歯科矯正
研究実績の概要

口唇口蓋裂や後鼻孔閉鎖等を始めとする顎顔面形成不全は、先天性疾患の中でも高頻度で発生する多因子性疾患である。胎生期のレチノイン酸(RA)シグナルの異常により口唇口蓋裂と後鼻孔閉鎖が併発することや、更にRAシグナルは様々な遺伝的要因や環境的要因と相互作用を持つ事が知られており、これらの多因子疾患の病因において中心的な役割を果たしている可能性がある。本研究では顎顔面形成不全の中でも未解明である複雑な病態を中心にRAシグナル異常を軸として解明し、顎顔面形成不全の効果的な予防法開発の為の基盤整備を行う。
今年度は、顎顔面形成不全を発生させる遺伝的要因として、Gata3遺伝子を用いて検証を行った。Gata3の変異によって、顎顔面形態の形成不全を引き起こすことが報告されており、Gata3はRAシグナルと相互作用を示し顎顔面発生時に重要な役割をはたすことが予想される遺伝子の一つである。顎顔面発生時のRAシグナルの低下によって、著しくその発現が低下することから、顎顔面の形成において、RAシグナル下流との相互作用を有することが強く示唆される。
胎児発生中のRA合成に必要不可欠なRdh10と、Gata3のダブルノックアウトマウスを作製して実験を行い、様々なステージでその表現型の解析を行った。胎生12.5日のノックアウトマウスでは、発生中の後鼻孔でGata3の発現の低下がみられ、後鼻孔形成不全がみられた。顎顔面形成中のGata3の発現は後鼻孔の発生に重要な役割を果たし、Gata3の機能喪失により後鼻孔の形成に影響を及ぼすことが示された。またGata3は、胎生9.5日より以前の初期の後鼻孔形成に必要であることがわかった。
以上より、Gata3の発現は胎児の顎顔面形成中のRAシグナル伝達によって調節され、後鼻孔の発生に重要な役割を果たし、RA-Gata3シグナルが胎児の顎顔面形成に関与することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で使用するタモキシフェン誘導によりRdh10を全身でノックアウトするマウス(Ert2Cre;Rdh10fx)と、Gata3コンディショナルノックアウトマウス(Gata3fx)は、我々の研究室ですでに管理、使用しており、ダブルノックアウトマウスの作製は順調に進めることができた。このダブルノックアウトマウスを用いることで、様々なステージで作製したマウス胎児の顎顔面の解剖学的な表現型の解析が可能であった。事前の研究計画も適切であった。

今後の研究の推進方策

次年度以降は、Rdh10,Gata3ダブルノックアウトマウスの更なる表現型の詳細な解析を継続して行う。これにより、RAシグナルとGata3が本当に相乗的に働き、顎顔面形成に影響しているのかどうか、またどちらの因子がどの程度どの様な表現型の発生に関与しているのか、遺伝学的手法により明らかにする。
また、Rdh10と環境要因の相互関係の解析も並列して進める予定である。RAシグナルはアルコール摂取を始めとする様々な環境要因にとも相互作用がある事が示唆されているため、Rdh10ノックアウトマウスにさらにアルコール等を投与する事によって生じる変化を同定し、症状別に環境要因のリスクを解析する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Retinoic Acid Deficiency Underlies the Etiology of Midfacial Defects2022

    • 著者名/発表者名
      Wu Y.、Kurosaka H.、Wang Q.、Inubushi T.、Nakatsugawa K.、Kikuchi M.、Ohara H.、Tsujimoto T.、Natsuyama S.、Shida Y.、Sandell L.L.、Trainor P.A.、Yamashiro T.
    • 雑誌名

      Journal of Dental Research

      巻: 101 ページ: 686~694

    • DOI

      10.1177/00220345211062049

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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