研究課題/領域番号 |
21K10171
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
新谷 誠康 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (90273698)
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研究分担者 |
櫻井 敦朗 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90431759)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エナメリン / エナメル質形成不全 / 分子進化 |
研究実績の概要 |
ENAM遺伝子の突然変異を原因とするエナメル質形成不全のヒトエナメル質はエナメル小柱を欠き、厚みが薄いなど両生類のエナメル質と酷似している。両生類におけるENAM分子の発現部位や発現タイミングを解明し、進化学的に比較検討することによってヒトあるいは哺乳類のENAMの特徴(ENAMの何がヒトのエナメル質形成に重要なのか)が明らかになり、ENAM遺伝子の変異がカエルエナメル質と酷似した形態のエナメル質形成不全症を引き起こすプロセスの解明や治療に役立つと考えられる。 免疫組織学的手法を用いて、両生類のアフリカツメガエにおける歯胚のENAM遺伝子の発現とENAMタンパク質の分布を調べ、哺乳類で報告されているそれらとの比較により、ENAMの進化における変遷と変遷しない本来の機能について考察を加えることを目的に研究を遂行した。 昨年度までにカエルENAM推定アミノ酸配列をもとに作製した、ENAMの中で最も重要な機能を持つと考えられ、エナメル小柱と小柱間エナメル質に存在してエナメル小柱構造の樹立に貢献していると考えられる32KDaペプチド相同部位に対するポリクロナール抗体を作製し、リコンビナントカエルENAMによる抗体評価を行った。 抗体を作製するにあたってカエルENAMの32KDaペプチド相同部位の領域に推定アミノ酸配列をもとにその配列と一致するペプチドを作製した。各ペプチドを用いてウサギに免疫を行い、その抗体価の上昇した血清を精製し抗体を得た。免疫染色を行った結果,エナメル芽細胞と基質の境界、エナメル-象牙境に強い発現が認められ、歯嚢を構成するほかの細胞にも弱い発現が認められた。現在はin situ Hybridization の準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in situ Hybridization の進行に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度と同様にカエルENAM遺伝子配列をもとにRNAプローブを作製し、in situ Hybridization を継続して実施する。プローブの可視化にはDigoxygenin (DIG)を取り込んだアンチセンスRNAをプローブとして用いる。これらの結果から、両生類のエナメル質形成各ステージにおけるENAM遺伝子の発現部位と発現タイミングを探索する。 カエルの歯胚の各形成段におけるENAM遺伝子とENAMタンパク質の発現と分布をヒトやマウスの哺乳類のそれと比較し、進化過程におけるENAMの変遷や維持に関する検索を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者(研究代表者、研究分担者および研究協力者)のその他の業務の多忙により、研究遂行に想定以上に時間を要した。 現在、in situ ハイブリダイゼーションを実施している段階である。
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