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2021 年度 実施状況報告書

日本人に多い癒合歯の原因遺伝子を全エクソンシーケンスで網羅的に探索する

研究課題

研究課題/領域番号 21K10173
研究機関神奈川歯科大学

研究代表者

山口 徹太郎  神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (40384193)

研究分担者 高橋 正皓  昭和大学, 歯学部, 講師 (10736713)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード癒合歯 / 全エクソンシーケンス
研究実績の概要

癒合歯は、顎顔面領域に見られる不正咬合を惹起する頻度の高い疾患の一つであるにもかかわらず、原因は全く分かっていない。興味深いことに日本人に多く、家族性を認めることから、遺伝的関与は明らかである。一方、“全エクソンシーケンス(Exome sequencing)”により、家族性稀少疾患の原因遺伝子同定の成功例が数多く報告されるに至っている。歯牙の形成機序を理解することは不正咬合の病態を理解し、不正咬合の新たな予防法・治療法を確立するための重要な課題である。本申請課題の目的は不正咬合の原因ともなる癒合歯について、すでに本申請課題研究代表者が収集した下顎癒合永久歯前歯の家族性を呈する2家系から次世代シーケンサーによる全エクソンシーケンスにより、候補遺伝子を抽出するのに加え、別の約20罹患者からその原因遺伝子変異を同定する。

本申請課題研究代表者は優性遺伝形式を呈する原発性萌出不全という複数の罹患者を有するわずか2家系から、家系内プールを用いた全エクソンシーケンスにより、その原因因子がparathyroid hormone 1 receptor geneであることを発見した。この変異同定によってモデル動物作製、さらに iPS細胞樹立に成功した。本申請課題からの研究成果から不正咬合の病態理解や次世代に向けた新しい治療方法の足掛かりとする。

本申請課題は既に関連倫理委員会の承認を得ている。対象者は罹患頻度の高い集団である日本人、韓国人成人から収集されている。2020年10月現在、本申請課題が実施しうる検体収集が完了している。本申請課題遂行のために重要なのは1. 精度の良いゲノム解析情報を獲得する 2. 高度な遺伝統計学的解析を正確に実施する 3. 十分な精度、再現性を維持しながら遺伝子解析コストを最小にする、ことである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

①DNAの調整:非症候群の癒合歯、特に下顎癒合永久歯前歯罹患者を含む家系のうち罹患者および非罹患者のDNAを厳密に測定した。②エクソンキャプチャー:DNAからDNAライブラリーを作成し、エクソン配列のDNA断片のみを濃縮した。エクソンキャプチャーにはSure Select Huamn All Exon Kit(Agilent)を用いた。③シーケンス:Genome Analyzer IIx(Illumina)にて100bpのペアエンドにて行った。④シーケンスデータの解析:得られたシーケンスデータ(read)はUCSC hg19を標準ゲノム配列として、bwaおよびsamtoolsによってマッピングおよび変異リスト化した。Readの信頼性となるcoverage depth、変異のコールはsamtoolsによるpileupファイルを独自に研究協力者らと開発したプログラムにより解析し、信頼性も評価した変異リストをDNAプールのアリル頻度とともに出力し、この変異リストをフィルタリングすることで、候補となる変異を絞り込んでいる。

今後の研究の推進方策

①候補遺伝子の抽出から、2021年度に解析した家系症例以外の約20罹患者について候補遺伝子のリシーケンスを行う。すべてのエクソンとプロモーター領域(1kb)をPCR増幅し、次世代シーケンサー(GA II)でリシーケンシングを行う。②各々の症例における変異と臨床的多様性について考察する。原因変異の Genomic Evolutionary Rate Profiling フレームワークにて、種間の遺伝的配列の保存性を評価する。③研究成果の総括:本研究成果を学会、論文へ報告する。学会報告は歯科分野のみならず人類遺伝学分野においても報告する。新聞(図4)や雑誌といったメディアを通じて成果を公表し、学術的な波及に努める。

次年度使用額が生じた理由

解析試薬の調達が、当初、予定していた額よりも小さく済んだため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] 釜山大学(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      釜山大学

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公開日: 2022-12-28  

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