研究実績の概要 |
常染色体劣(潜)性遺伝形式でくる病/骨軟化症に類似した軟骨の形態的異常を示す自然発症型の軟骨石 灰化不全(cartilage calcification insufficient, CCI)を示すCCIラットの変異遺伝子および ヒトにおける発育異常の対応を課題として、CCIラットの頭蓋底や下顎頭における軟骨内骨化と成長の遅延で、イン ディアンヘッジホッグ (IHH)シグナルの転写因子Gli1mRNAの過剰発現と 軟骨細胞の増殖や分化が抑制される可能性を報告してきた。 これまでの検索結果から、CCI ラットの発症原因や機序について、Ihh 等のレセプタ ー的働きの要素が考えられた。軟骨基質形成のアグリカン合成過程異常 の結果 (Tanaka M. Exp Anim Tokyo, 2015, Shibata S. Anat Sci Int., 2020)から、ヒト骨軟骨系疾患にみられる発育異常に対応していることが考えられる。 また、バイオインフォマティクスによる分子間相互作用ネットワーク(代謝、シグナル伝達、 遺伝情報等)の二項関係に基づいた情報から、MEPE, DMP1, MMP8, FCNB, PHEX等で発現低下とWnt, MAPKのpathwayで低下を示した。 そこで、これら分子のタンパク発現と遺伝子発現について分子生物学的に検索するため、 採取したCCIラットとWTラットの膝関節軟骨、頭蓋底軟骨結合部、お よび顎関節頭軟骨のパラフィン組織標本を作製し、cDNAの抽出を行った。現在、組織標本から抽出したcDNAから次世代シークエンスによる解析へと進めている。しかしながら、遺伝子保存状態を含む精度を調査したところ、固定後の標本からDNAやRNAの断片化が明らかになっていることが判明し、室温保存から冷蔵保存に移行した。
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