研究課題/領域番号 |
21K10174
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
永山 元彦 朝日大学, 歯学部, 教授 (50298436)
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研究分担者 |
落合 隆永 朝日大学, 歯学部, 准教授 (20410417)
江原 道子 朝日大学, 歯学部, 講師 (10425308)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 軟骨内骨化 / Wntシグナル / ヘッジホッグシグナル |
研究実績の概要 |
頭蓋底軟骨を含む全身性の軟骨内骨化の遅延を示すcartilage calcification insufficient (CCI)ラットが自然発症型の常染色体潜性遺伝様式であることが判明したため、原因遺伝子の特定が可能と考えた。膝関節の成長板軟骨と関節軟骨から採取したtotal RNAのcDNAマイクロ アレイをドラゴンジェノミクス GeneChip Expression Array解析プローブアレイRat Genome 230 2.0 Arrayでバイオイン フォマティクスによるクラスタリング比較、Metacore 解析とDAVIDデータベース に基づき変動遺伝子群とpathwayシグナル 伝達との関連検索では、MEPE, DMP1, MMP8, FCNB, PHEX等の各遺伝子発現低下を示 し、DAVIDによるPathwayでWnt, MAPKで低下を示した。 これらの結果から、CCI ラットの発症原因や機序について、Ihh 等のレセプターの要素や軟骨基質形成のアグリカン合成過程異常の結果も報告されていることから、ヒト骨軟骨系疾患にみられる発育異常に対応しているかをこれまでに蓄積した cDNAによ る RTPCR法や組織標本から検索する。 骨格性発育異常の治療法の多くは外科的形成術であるが、遺伝子ターゲット療法が分子病理学を中心として発展しつつある。本研究は、責任遺伝子の解明に留まることなく、硬組織形成を担う骨格系形成異常の分子機構でユニークな特徴を持つ軟骨内骨化が、成長・発育時に関連するだけでなく、治療や再生に繋がることである。これを制御する因子の解明でそのQOLの向上から、責任遺伝子をターゲットとするゲノム治療法は、成長段階から制御することができる内分泌内科学的な側面を併せ持つ意味で治療法の解明の足がかりにもな り得ると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍による大学教育のインフラ整備と教務整備に時間を要したため、実験の一時中止となり、再開の目処が立っていない。
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今後の研究の推進方策 |
バイオインフォマティクスによる分子間相互作用ネットワーク(代謝、シグナル伝達、 遺伝情報等)の二項関係に基づいた情報としてデータベース化(KEGG PATHWAY)から遺伝子発現低下を示したMEPE, DMP1, MMP8, FCNB, PHEX等や、DAVIDによるWnt, MAPKのpathwayでシグナルの低下を示した ことから、これら分子のタンパク発現と遺伝子発現についてRT-PCR法、次世代シークエンス、形態的発現で免疫染色やISHを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における大学教育の整備で研究実施が遅れたため、研究経費の使用が留まることが多かったため。これらを改善するため、計画的な実施を行う予定である。
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