研究課題/領域番号 |
21K10175
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
小野 圭昭 大阪歯科大学, 歯学部附属病院, 教授 (60221165)
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研究分担者 |
田中 佑人 大阪歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (10711038)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | VR / 不安軽減 |
研究実績の概要 |
本研究は、仮想現実 <VR> が、発達障害者の歯科治療時の不安軽減に有効かどうかを明らかにすることを目的とする。発達障害者は、その発達特性により歯科治療時に極度の不安を感じる場合があるため、何らかの不安軽減が必要となる。しかし、レスポンデント条件付け等の心理学的根拠に基づく不安軽減法は、発達特性に起因する不安の軽減には必ずしも有効とは言えないため、発達障害者の歯科治療時の不安軽減には鎮静剤を併用することがしばしばある。ただし、鎮静剤の使用は呼吸抑制や誤飲・誤嚥のリスクを増すため、使用は限定される。近年、抜歯などの口腔外科処置中のストレス軽減にVRによる「没入感」が有効であることが注目されている。被験者には、大阪歯科大学附属病院障がい者歯科に歯科検診を目的に来院する患者で、定期歯科検診にすでに応じている定型発達者と発達障害者を選択し、VR Distractionのストレスにおよぼす効果を検証する。被験者には定期歯科検診として3~4か月に一度の頻度で来院するよう指示し、VR Distraction あり条件とVR Distraction 無し条件を交互に設定し、VR Distractionの歯科治療時のストレスに及ぼす影響を調べた。また、その介入効果について、非発達障害者と発達障害患者とで異なるのかどうかを調べた。現段階では定型発達者8名に対してSTAI A-State Scoreにて歯科治療に対する不安度を測定した。初回治療前の平均STAI値は52.5で、2回、3回目はそれぞれ47、49となり、初回と比較して低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歯科治療の内容や患者個別の特徴の差異を調整するため、十分なサンプルサイズを得る必要がある。そのため研究実施期間を25ヶ月として、100名程度の実験群の被験者数を期待している。近年の新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、現段階では被験者リクルートを開始してから6ヶ月程度ではあるがそれを考慮しても期待する被験者数を下回っている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き被験者の確保に努めるが、被験者数の問題により予想通り進展しない場合は、統計学的パワーを考慮し、自律神経活動測定の評価項目を減らす、あるいは多変量解析ではなく傾向スコアマッチングにて対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定通りの進捗ではなかったため、十分な被験者数のデータを得られておらず、その測定に要する機器の購入をしておらず、またデータ解析に要する費用が掛からなかった。これらの未使用分は次年度に使用予定である。
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