研究課題/領域番号 |
21K10175
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
小野 圭昭 大阪歯科大学, 歯学部附属病院, 教授 (60221165)
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研究分担者 |
田中 佑人 大阪歯科大学, 歯学部附属病院, 准教授 (10711038)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | VR / 不安軽減 / 発達障害 / 歯科治療恐怖症 |
研究実績の概要 |
本研究は、仮想現実 <VR> が、発達障がい者の歯科治療時の不安軽減に有効かどうかを明らかにすることを目的とする。発達障がい者は、その発達特性により歯科治療時に極度の不安を感じる場合があるため、何らかの不安軽減が必要となる。近年、抜歯などの口腔外科処置中のストレス軽減にVRによる「没入感」が有効であることが注目されている。 申請者らは、この「没入感」は発達障がい者の不安軽減にも有効だと期待している。研究対象者には、4回以上の歯科治療を要する本学附属病院障がい者歯科の初診患者のうち、発達障害の診断を受けている満16歳以上の患者20名を対象とした。本研究では、VRを用い、大地や海洋、森林などを飛行するアニメーション動画を研究対象者に視聴させることで没入感の誘発を図った。歯科治療中の恐怖心を評価するためにVisual Analog Scale(VAS値)を用いた評価に加え、心拍数、自律神経活動(交感神経(LF)・副交感神経(HF)・バランス(LF/HF))を測定した。2023年度までに発達障がい者の測定を終え、解析した。 現在のところ、VRがある場合は、無い場合と比較して、LFが有意に低下し、HFが有意に上昇した。主観的評価としてのVAS値においても、VRがある場合の方が、無い場合と比較して有意に恐怖心が低いと回答した。なお、VRの没入感についても4段階評価を行ったが、没入感を感じたと回答したものがほとんどであった。 以上の結果から、発達障がい患者における歯科治療時の恐怖感には、VRの没入感によって一定の軽減が認められたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発達障がい者に対するVRの歯科治療時の不安軽減効果を、定型発達者や歯科治療恐怖症患者に対するそれと比較することになったため。
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今後の研究の推進方策 |
発達障がい者に対するVRの歯科治療時の不安軽減効果を、定型発達者や歯科治療恐怖症患者に対するそれと比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度終了時点で論文発表を行う予定であったが、2024年に研究対象者の範囲を拡大し、それらの測定・解析を終えてから論文執筆を行うこととなった。論文発表に関わる英文校正や投稿料などの費用が次年度に必要となった。
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