研究課題/領域番号 |
21K10183
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大川 玲奈 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (80437384)
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研究分担者 |
鋸屋 侑布子 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (40803078)
柿本 直也 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50324794)
中元 崇 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (60403630)
仲野 道代 (松本道代) 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (30359848)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 低ホスファターゼ症 / X連鎖性低リン血症性くる病 / 象牙質形成不全 / 骨系統疾患 / パノラマエックス線写真 |
研究実績の概要 |
本研究は、骨系統疾患の歯科症状を定量評価することによって、歯科病態の発生メカニズムの解明につなげること、新規骨系統疾患治療法のヒトの顎骨や歯への影響を検討することを目的とし、低ホスファターゼ症患者とX連鎖性低リン血症性くる病患者のパノラマエックス線写真を収集し、定量的に歯科病変を評価するとともに、脱落した乳歯の提供を受け、石灰化について病理組織学的解析を行う。 本学附属病院のパノラマエックス線撮影装置で撮影したパノラマエックス線写真を用いた3歳から15歳の骨密度の年齢別基準値評価法を他施設の別機種の撮影装置でも応用するために、岡山大学で撮影されたパノラマエックス線写真を40枚収集するとともに、幅広い年齢層に適応するため、16歳から20歳の健常な人のパノラマエックス線写真の収集を終えた。低ホスファターゼ症患者においては、多施設共同前向き観察研究として全国14施設から低ホスファターゼ症罹患患児52名のパノラマエックス線写真のデータを得た。 また、X連鎖性低リン血症性くる病患者において、歯髄腔の面積を用いて象牙質形成不全の重症度を定量評価するため、健常児の歯髄腔面積の基準値設定を目的として、3歳から15歳の200名のパノラマエックス線写真データの読影を行い、歯髄腔の面積の年齢別基準値を設定した。また、X連鎖性低リン血症性くる病患者において18名の患者のパノラマエックス線写真をもとに、象牙質形成不全を定量評価した。 さらに、脱落乳歯の石灰化をラマン分析法にて解析を行うにあたり、健常乳歯を用いて測定条件を設定すると同時に、低ホスファターゼ症患者15名とX連鎖性低リン血症性くる病患者3名の乳歯を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
骨系統疾患は稀少疾患であることに加えて、COVID-19の小児での流行に際し、パノラマエックス線写真と乳歯の収集に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
パノラマエックス線写真を用いた骨密度の測定方法が、他施設においてもあらゆる年齢で応用可能であることを明確にする。その上で、さらに低ホスファター ゼ症患者とX連鎖性低リン血症性くる病患者のパノラマエックス線写真を収集し、設定した基準値をもとに、低ホスファターゼ症患者とX連鎖性低リン血症性くる病患者から得たデータと照らし合わせ、歯科症状を定量的に評価し、新規治療法のヒトの顎骨や歯への影響を検討する。 また、ラマン分析法の測定条件を設定した上で、低ホスファターゼ症患者とX連鎖性低リン血症性くる病患者の乳歯の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の小児での流行に際して、歯科受診が減少したことによって、十分な乳歯のサンプル採集が進まなかった。次年度に、さらにサンプル収集を強化し、解析を行う予定である。また、COVID-19の影響で、研究打ち合わせや学会がオンラインとなり、旅費の支出が減少した。次年度は、研究打ち合わせや学会発表が対面となることを想定している。
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