研究課題/領域番号 |
21K10184
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
野村 良太 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (90437385)
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研究分担者 |
仲野 和彦 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00379083)
鋸屋 侑布子 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (40803078)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ菌 / 口腔マイクロバイオーム / 唾液検体 / Nested PCR / 次世代シークエンサー / バイオインフォマティクス解析 / パーキンソン病 |
研究実績の概要 |
ヘリコバクター・ピロリ菌は小児期に口腔を介して感染するが、口腔マイクロバイオームとの関係性は解明されていない。本研究では、口腔内のピロリ菌の有無に着目して、小児および成人の口腔マイクロバイオームの包括的な分析を行った。成人41人と小児21人の唾液検体から細菌DNAを抽出し、Nested PCRを用いてピロリを検出するとともに、次世代シークエンサーを用いてマイクロバイオームの解析を行った。バイオインフォマティクス解析の結果、Faithの系統的多様性分析では、ピロリ菌陰性の成人検体と小児検体の間にα多様性で有意差を認めた(P < 0.05)。また、ピロリ菌陽性と陰性の小児検体の間には、β多様性が有意差を認めた(P< 0.05)。属レベルでの分類学的分析から、ポルフィロモナス属は、ピロリ菌陽性の成人と小児の両方において、陰性の場合よりも有意に多く存在した(P< 0.05)。 パーキンソン病の患者ではピロリ感染の有病率が高いことが報告されていことから、パーキンソン病の患者の口腔におけるピロリ菌の定着について分析を行った。パーキンソン病に罹患していない被験者186名とパーキンソン病の患者13名から唾液を採取し、Nested PCRを用いてピロリ菌を検出した。パーキンソン病の患者の重症度は、パーキンソン病統一スケール(UPDRS)に基づいて評価した。その結果、パーキンソン病の患者から採取した唾液中のピロリ菌の検出率は、対照群における検出率よりも有意に高かった(P<0.01)。さらに、ピロリ菌陽性のパーキンソン病患者の UPDRS スコアは、日常生活活動および運動検査の時点で、ピロリ菌陰性のパーキンソン病患者よりもそれぞれ有意に高かった(P<0.05)。
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