研究課題/領域番号 |
21K10201
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
竹生 寛恵 北海道大学, 大学病院, 助教 (40609103)
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研究分担者 |
下地 伸司 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (30431373)
阿部 貴惠 北海道大学, 大学病院, 助教 (00455677)
長谷 由理 北海道大学, 大学病院, 助教 (20626121)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ICT / 歯科治療 / ストレス緩和 / 医療支援 / 自律神経活動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ICTを歯科治療時に活用することで患者に安心・安全な歯科治療を提供するとともに医療者にも安全で効率的な診療支援を行い、双方にとってストレスフリーな歯科治療を確立することである。具体的にはVRとARを患者と医療者それぞれに活用することで、快適な仮想空間を作り出すことによるストレス緩和効果、同時に空間認識機能を有しデジタル情報との統合が可能なため、自律神経活動モニターシステムと連動させることによる治療時の効率化および詳細なデータの構築ができ、最適な治療環境の提供が期待できると考えた。 初年度はまず、医療現場におけるVR/AR活用の現状に関して文献調査を行った。この調査結果をもとに研究メンバー内で歯科治療時のストレス軽減に効果的なVR仮想環境について比較検討を行った。次にVRを歯科治療時に用いるためのコンテンツおよび歯科情報提供ソフトウエア、状況記録アプリの開発などのシステム設定を行い、作動体制を整備した。具体的には、実験に必要なPC、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、コントローラ、センサーを購入し、歯科ユニット上でHMDを装着した際の動作確認を行った。さらに新規開発自律神経活動モニターシステムとの連動を可能とするシステム設定を行い、VR使用中の全身状態の変化を簡便かつリアルタイムに評価できる作動体制を構築した。 これらのシステムをさらに健全な若年成人ボランティアを対象に使用し、平常時の自律神経活動への影響および歯科情報ソフトウェアの効果を検討する予定であったが、COVID-19の影響により病院内での臨床研究の実施が困難となり予定通りの研究を行うことはできなかった。その一方、歯科治療時のストレス軽減法について別の角度からも分析を行い、査読付きの論文を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は健全な若年成人ボランティアを対象としてVRを使用した際の平常時における自律神経活動への影響および歯科情報ソフトウェアの効果についても検討する予定であったが、これを遂行するためのシステム設定や作動体制などVR関連設備に時間を要した。これに加え、COVID-19の影響により病院内での臨床研究の実施が困難であったため、目標より達成度は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は健全な若年成人ボランティアを対象とした臨床研究を行い、VRを使用した際の平常時における自律神経活動への影響および歯科情報ソフトウェアの効果を検討する。また、ARによる治療内容記録方法とその影響についても検討し、効果的なモニタリングシステムを確立する。現在コロナ禍における制約が緩和されつつあり、病院内での臨床研究の実施も可能と思われるため、実際の歯科治療時における介入研究についてもすすめていく予定である。 臨床研究の実施に関しては、徹底した感染対策を講じて、被験者・実験者双方が安全かつ安心して実施できる環境を整備するとともに、現在北海道大学大学院歯学研究科臨床・疫学研究倫理委員会への研究計画の申請をすすめている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、臨床研究が困難だったため、当初の計画では購入予定だった皮膚電位計2台(30万円)およびそれを使用するためのノートPC2台(26万円)を用いずに研究を行うことができたが、次年度からは通常用いているモニターシステムの比較対照としてそれらの測定器具を使用する予定である。
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