研究課題/領域番号 |
21K10210
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
青木 志郎 広島大学, 病院(医), 講師 (10457236)
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研究分担者 |
祢津 智久 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (10457260)
西 裕美 広島大学, 病院(歯), 助教 (70403558)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 歯周病菌 |
研究実績の概要 |
本研究では、口腔内の歯周病菌感染症が急性期脳卒中患者の発症や予後を予測しうるものと仮説を立て、臨床検体によりその仮説を検証すること、その関連性における炎症の影響を検討すること、さらに頭部MRI画像の詳細な検討により、脳内における器質的な変化との関連を検討することを目的としている。本年度において、急性期脳卒中患者664名を対象に、脳梗塞、特に心原性脳塞栓症の最大の危険因子である心房細動と歯周病菌抗体価との関連を検討した。歯周病菌抗体価は、歯周病菌患者において感染率が高いとされる、Aggregatibacter actinomycetemcomitans (AaY4, Aa29523, AaSUNY67)、Eikenella corrodens (Ec)、Fusobcterium nucleatum (Fn25586, Fn10953)、Prevotella nigrescens (Pn33563)、Prevotella intermedia (Pi26511)、Porphyromonas gingivalis (Type I-V)、Treponema denticola (Td)、Tannerella forsythia (TfATCC)、Campylobacter rectus (CrATCC)の9菌種16菌体のIgG抗体価をELISA法にて測定した。664名中123名(18.5%)の患者に心房細動を認めた。プロペンシティスコアマッチングにより、心房細動の有無以外の患者背景を調整したうえで解析した結果、Porphyromonas gingivalisのtype IIIとtype Vの抗体価が陽性の患者において、有意に心房細動の合併率が高いことが示された。このことから、心房細動の発生にPorphyromonas gingivalisの感染が関与していることが示唆され、今後基礎的、病理学的な検討を進めることによりさらなる病態解明が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
急性期脳卒中患者の舌苔および歯垢からの歯周病菌の採取はおおむね順調に集まっており、細菌量測定の実験準備も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現状通り検体採取を継続していくとともに、リアルタイムPCR法による細菌量の測定を並行して行い、脳卒中患者の転帰と口腔内感染症との関連を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験用として購入予定だった消耗品を購入しなかったため翌年度に繰り越しとした。翌年度分と合わせて、実験時の解析用試薬を購入し研究を進めていく。
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