研究課題/領域番号 |
21K10211
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
内藤 真理子 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (10378010)
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研究分担者 |
若井 建志 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50270989)
西村 瑠美 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (80758219)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | QOL / 歯数 / 口腔保健 / 疫学研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、歯の喪失がQOLに与える影響を検討することを目的にしている。「歯の健康」は健康日本21の柱のひとつである。口腔の健康は機能面だけではなく、心理面や社会面にも影響を及ぼすことから、その維持増進は豊かな人生を送るための基盤となる。健康に関連するQOLは身体面、心理面、社会面、役割・機能面に影響を及ぼす。超高齢社会において、とりわけ高齢者のQOL維持は健康寿命の延伸に重要な意義を有しており、その過程において口腔の健康が果たす役割は大きいと考えられる。 今年度は職域を対象とした歯科医師を対象とした歯と全身の健康、栄養との関連に関する研究のデータ(10,068名)を用いて、歯数と口腔関連QOLの関連について分析した。口腔関連QOLはGeneral Oral Health Assessment Index(GOHAI)日本語版を用いて評価した。GOHAIは12項目で構成され、合計スコアが高いほどQOLが高いことを示す。男女とも歯数とGOHAIスコアは正の相関が認められた。 可撤式義歯装着の有無と種類に関して検討を加えた。義歯カテゴリ別GOHAIスコアの比較では「義歯なし」群が最も高く、続いて「全部床と部分床義歯の両方」、「全部床義歯のみ(両顎)」が続いた。「全部床義歯のみ(下顎のみ)」群が最も低い値を示し、「義歯なし」群に較べてGOHAIスコアは有意に低下していた(P<0.001)。これらの結果より、可撤式義歯の装着や義歯の種類が口腔関連QOLに影響を及ぼす可能性が示唆された。歯牙喪失とQOLの検討において、歯科補綴状況の考慮が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
量的研究におけるデータ分析は予定通り進んでおり、一部の成果を学術報告する予定である。新型コロナウイルス感染症対応より、大学病院受診患者を対象としたインタビュー調査の実施が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
タイムスケジュールを考慮しながら、インタビュー調査対象者の変更を含めた研究計画の見直しをおこなう。昨年度までに得られた研究成果の還元を並行して進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れていることから次年度使用額が生じている。2023年度に実施する調査や研究成果報告に使用する予定である。
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