研究課題
本研究では、歯の喪失がQOLに与える影響を検討した。職域における歯科医師を対象に、歯と全身の健康、栄養との関連に関するデータを使用して、歯数と口腔関連QOLの関係を分析した。口腔関連QOLは、General Oral Health Assessment Index(GOHAI)の日本語版を用いて評価された。現在歯数とGOHAIスコアが国民標準値未満となるリスクを、感度と特異度を用いて検討した。解析対象は65歳未満が8,356名、65歳以上が1,713名だった。分析結果から、最適なカットオフ値は65歳未満で27歯、65歳以上で21歯であることが示された。ROC曲線下面積およびその95%信頼区間は、65歳未満で0.595(0.542-0.648)、65歳以上で0.665(0.585-0.745)であった。さらに、喪失歯数を4分位に分けて(28歯、19-27歯、9-18歯、8歯以下)、年齢調整後の平均GOHAIスコアを各群で比較した。男女ともに8歯以下の群が最もGOHAIスコアが高く、他の群と有意な差が認められた。男性において、28歯群は19-27歯群や9-18歯群と比べて高いGOHAIスコアを示した。地域住民を対象とした横断研究のデータ分析より、現在歯数が20歯以上あることが主観的な嚥下機能とGOHAIスコアとの関連を強めている可能性が示唆された。これまでの分析結果より、男女とも現在歯数と口腔関連QOLの間には正の相関が認められる一方、両者の関係において可撤式義歯の装着や義歯の種類、口腔機能等の考慮が必要であると考えられた。歯の喪失が口腔関連QOLに及ぼす影響について、様々な要因を含めた更なる検討をおこなっていく予定である。
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BMC Oral Health
巻: 23 ページ: 708
10.1186/s12903-023-03451-8.