研究課題/領域番号 |
21K10224
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
小原 由紀 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (00599037)
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研究分担者 |
平野 浩彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (10271561)
岩崎 正則 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (80584614)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オーラルフレイル / 口腔機能低下 / ディスバイオーシス / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
2023年度は、これまで実施してきた青年・壮年期及び高齢期を対象とした調査結果をもとに、口腔機能とディスバイオーシスとの関連性に関する検証を行った。青年・壮年期については29名分のデータを分析対象とした。一方、高齢期については、地域在住高齢者102名分のデータを分析対象とした。 腸内細菌叢の解析には、次世代シーケンサーを用いた16S rRNA解析を用い、腸内細菌叢の門レベルの構成比、多様性指標、短鎖脂肪酸指標、腸管免疫指標を同定した。 青年・壮年期では、腸内細菌叢に関連する各指標については、男女で有意差は認められなかった。Spearmanの相関係数による分析では、口腔水分量とBacteroidota門の存在比との間に有意な相関を認めた(r=0.547, p=0.002). α多様性指標については、口腔機能との有意な相関は認められなかった。Bacteroidota門に属する腸内細菌は、腸管免疫において重要な役割を担うとされている。口腔乾燥は唾液による自浄作用の低下や口腔の不活動等を反映していると考えられ、口腔機能の低下が腸内細菌の最優勢菌群であるBacteroidotas門の構成比に関与すると考えられた。 高齢期では、オーラルフレイル群は、オーラルフレイル非該当群と比較して、Bacteroidota門の構成比が有意に低い結果を示していた。重回帰分析の結果からも、OFの存在がBacteroidota門の構成比が低いことと有意に関連していた(β=-2.62,95%信頼区間-6.25to -0.86)。一方、腸内細菌叢に関するその他の指標とOFの有無については有意な関連性は認めなかった。以上より、青年・壮年期では口腔の不衛生が、高齢期では口腔機能の低下が腸内細菌の最優勢菌群であり、腸管免疫に影響を与えるとされるBacteroidota門の構成比に関与する可能性が示された。
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