研究課題/領域番号 |
21K10229
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古田 美智子 九州大学, 歯学研究院, 講師 (20509591)
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研究分担者 |
山下 喜久 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20192403)
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 歯周病 / 血糖値 |
研究実績の概要 |
本研究は、肥満がインスリン抵抗性を媒介して歯周病に及ぼす影響に性差があるかを調べることを目的に実施し、口腔と全身の健康の関係の性差を引き起こす「鍵因子」を検討する。令和4年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、歯科健診は規模を縮小して実施した。また、口腔と全身の健康の関係について解析を進め、誌上で歯周病と糖尿病の相互関係について報告した。この報告では、35~64歳の2,198人を対象にし、5年間の歯周組織状態と糖代謝の相互関係を調べた。歯周組織状態は平均歯周ポケット深さ(probing pocket depth, PPD)で評価した。糖代謝は空腹時血糖値とヘモグロビンA1c(HbA1c)で評価した。Cross-lagged panel modelを用いて、歯周組織状態と糖代謝の関係を調べた。共変量として、年齢、性別、喫煙状態、飲酒、運動、職業、肥満、歯みがき回数、歯科医院への定期受診を用いた。結果として、ベースライン時のHbA1cは5年後の平均PPDと関係が認められた(β = 0.048, p = 0.013)。また、ベースライン時の血糖値が5年後の平均PPDに関係する傾向は認められた(β = 0.036, p = 0.063)。しかし、ベースライン時の歯周組織状態は5年後のHbA1cや血糖値との関係はなかった。本研究の結果から、糖代謝が歯周組織状態に影響するという一方向の関係性が認められた。歯周病が糖尿病に与える影響を報告した先行研究では、軽度よりも重度の歯周病が影響することを示唆している。本研究の対象者の歯周組織状態は比較的良好で、重度の歯周病を保有している者が少なかったため、歯周組織状態が糖代謝に与える影響は認められなかった可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血清レチノール結合タンパク質 (retinol binding protein-4, RBP4) はインスリン抵抗性に関与する因子であるが、令和4年度はRBP4を測定する予定であったが測定していない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、過去の血漿試料を用いてRBP4を測定し、口腔の健康状態との関連性を解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
血清レチノール結合タンパク質を測定する予定であったが、測定できなかったため次年度使用額が生じた。次年度に測定予定である。
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