研究実績の概要 |
2021年から22年にかけて先天性、後天性神経・筋疾患患者の口腔問題と治療の実態を調査する目的でおこなったアンケート調査の学会発表を2022年11月の第39回日本障害者歯科学会にて行った。 調査(順天堂大学医学部研究倫理委員会、承認番号M21-0024)は障害者歯科学会のホームページ等に掲載された会員の歯科医師、施設等あてにアンケートを送付した。 結果 アンケート送付数は658であり、回答数は215件であった。年間における診療患者の病名は筋ジストロフィーが347例、重症筋無力症170例、ミオパチー83例脊髄筋委縮症73例、その他が170例であった。,筋ジストロフィー患者への治療は,クリーニングが最も多く,う蝕治療,摂食嚥下訓練の順で,歯列矯正,抜歯,顎関節脱臼の整復,ナイトガード作成,義歯作製も行われていた.患者の治療頻度は3か月,毎月,患者の希望時,6か月の順であった.多く見られる口腔内症状は歯周病,う蝕,歯列不正,嚥下障害,咀嚼障害,開口障害,巨舌,顎顔面形態の異常,閉口障害,口腔乾燥の順であった.その他としては歯ぎしりによる咬耗,口傷,顎関節脱臼,構音障害,誤嚥などが挙げられていた.術者が患者の治療を行う上で注意していることは患者のポジショニングが最も多く誤嚥に注意しながら吸引を行い治療を行っているとのことであった.患者もしくは家族が日常の口腔問題で困っていることは口腔ケアを自身や家族が行うことは難しいが最も多く,次いで近所の一般歯科では受け入れてもらえないであった. 結論 当患者の治療は,歯周病,う蝕の治療が多く、治療に際しては患者の誤嚥等に注意を要する.また近隣の歯科での受け入れが難しい場合が多く,医科歯科連携を密にし歯科側の受け入れ態勢の構築,歯科医師に対する障がい者治療の教育が必要であると考えられた。 同疾患患者を診察する上での診療者側の問題点を抽出することができた。これについて論文発表を行う予定である。
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