研究課題/領域番号 |
21K10237
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田口 千恵子 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (80434091)
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研究分担者 |
布施 恵 (長井恵) 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30343578)
有川 量崇 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50318325)
Bhawal Ujjal 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50433339)
竹内 麗理 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60419778)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アスピリン / マクロファージ / iNOS |
研究実績の概要 |
アスピリンの適切な濃度を決定するために、分離した腹腔マクロファージ細胞をさまざまな用量のアスピリン(50、100、150、および200 μg / ml)で12時間前処理した。これらすべての用量のアスピリンは、LPSが誘導する誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の発現を有意に減少させた。 iNOSのダウンレギュレーションは、200μg /mlアスピリンで最も顕著であり安定した結果となった。ウェスタンブロッティングでは、200 μg / mlのアスピリンで前処理した後、LPSが誘導するiNOSの発現を効果的にブロックできることが確認された。免疫細胞染色において、LPS誘導iNOS陽性マクロファージのパーセンテージがLPS刺激後に有意に増加したことを示した。LPS誘導をしないアスピリン処理が、マクロファージに与える影響を検討するために、細胞を200 μg /mlアスピリンで36時間処理した。 フローサイトメトリーによる分析結果では、200 μg / mlのアスピリンがRAW264.7細胞のアポトーシスに影響を及ぼさないことを示した。さらに、ウエスタンブロットおよびリアルタイムPCRでは、200μg / mlのアスピリン処理がマクロファージ細胞におけるarginase-1 (ARG1)、chitinase-like 3 (Chil3, YM-1)、Retnla (FIZZ)またはTNF-αの発現に影響を及ぼさないことも確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね進行しているが、マクロファージ分析のための分析キットがコロナ過により入手が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
1.骨欠損を伴う歯周炎ラットモデルの確立(動物実験) 上顎第一大臼歯の頬側に2mm×3mmの分岐骨吸収モデルを作製し、1ヶ月間観察する。(骨吸収が単独で修復されず、ラット実験的骨吸収歯周炎モデルの作製) 2.歯周組織の修復と再生を促進するアスピリンの生体内研究(動物実験) アスピリンがラット歯周炎モデルの歯槽骨吸収を修復および再生する能力を検討する。ラットで実験的な骨吸収歯周炎モデルを確立した後、対照群:手術のみを実施し、介入無し。GTR群:HA / TCPを使用して骨吸収を補填する。GTR+アスピリン群: HA / TCPとアスピリンを用いて骨吸収を補填する。今年度の結果からアスピリンの最適濃度を決定し実施する。①各群の介入後、1、3、5、7、14、および21日に標本を収集し、歯槽骨吸収領域、骨芽細胞、破骨細胞、M1 / M2マクロファージの比率および手術部位の炎症程度を観察する。②介入後1、2、4、6、8、12週目に採血し、血中のTh1、Th2、Th17およびTregの割合と、対応するサイトカインの発現レベルを解析する。アスピリンの局所的使用が全身の免疫反応に影響を与えるかどうかを検討する。③介入後12週目に標本を採取し、icroCT、HE染色によりラット歯槽骨吸収に対する再生を観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マクロファージ分析用のキット(Pit formation Assay)を購入予定であったが、輸入品であり、コロナ感染症の影響により入手できなかったため、次年度の物品費に充てる。
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