研究課題/領域番号 |
21K10237
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田口 千恵子 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (80434091)
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研究分担者 |
布施 恵 (長井恵) 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30343578)
有川 量崇 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50318325)
Bhawal Ujjal 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50433339)
竹内 麗理 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (60419778)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アスピリン / マクロファージ / 欠損治癒率 / iNOS |
研究実績の概要 |
ラット下顎欠損モデルにおけるin vivoでASA前処理マクロファージの免疫調節機能について検討した。最初に、切歯と大臼歯間の歯槽骨に5 mm×2 mm×1 mm の欠損を人工的に作成した。 次に、200μg/mlアスピリンを投与するための担体としてハイドロゲルを使用した。この混合物は、欠損を補填する目的で用いた。対照群では、DMSOと混合したハイドロゲルを補填に使用した。足場としてアスピリン処理群、対照群共にハイドロゲルによる混合物をHA/TCPで覆った。最後に、4-0 吸収性縫合糸により皮膚切開部を閉じた。欠損手術の2週間後、対照群よりもアスピリン処理群の方が有意に早期治癒したことが明らかとなった。 さらに、手術の2か月後、アスピリン処理群は対照群と比較して欠損治癒率を高めるという大きな利点をもたらした。これらの知見は、アスピリン処理群が骨欠損の修復において骨形成に有利であることを示した。 次に、アスピリン処理が、in vivoで局所LPS誘導iNOS陽性マクロファージの数を減らすことができるかどうかを検討した。手術後3日目に、両方のグループでLPS誘発iNOS陽性マクロファージの割合が増加した。しかし、対照群と比較して、アスピリン処理群はiNOS発現細胞の割合が低かった。手術後5日目までに、LPS誘導iNOS陽性マクロファージの割合は、時間の経過とともに減少した。iNOS発現細胞の割合は、対照群よりもアスピリン処理群の方が低い結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画に基づき実施しているが、対象となるラット実験的骨吸収歯周炎モデルの作製とその系の立ち上げなどに、時間を要したために、計画書以上の進展には至っていない。現状でほぼ問題点は、解決に向かっていくと考えられ、今後は、遅れを取り戻し、研究の進展が図られると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
歯周組織の修復と再生を促進するアスピリンの生体内研究(動物実験):アスピリンがラット歯周炎モデルの歯槽骨吸収を修復および再生する能力を検討する。ラットで実験的な骨吸収歯周炎モデルを確立した後、対照群:手術のみを実施し、介入無し。GTR群:HA / TCPを使用して骨吸収を補填する。GTR+アスピリン群: HA / TCPとアスピリンを用いて骨吸収を補填する。上記③で実施した実験の結果からアスピリンの最適濃度を決定し実施する。①各群の介入後、1、3、5、7、14、および21日に標本を収集し、歯槽骨吸収領域、骨芽細胞、破骨細胞、M1 / M2マクロファージの比率および手術部位の炎症程度を観察する。②介入後1、2、4、6、8、12週目に採血し、血中のTh1、Th2、Th17およびTregの割合と、対応するサイトカインの発現レベルを解析する。アスピリンの局所的使用が全身の免疫反応に影響を与えるかどうかを検討する。③介入後12週目に標本を採取し、microCT、HE染色によりラット歯槽骨吸収に対する再生を観察する。
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