研究課題
Dec1ノックアウト (KO) マウスと野生型 (C57BL/6) マウスの口腔内に Porphyromonas gingivalis (対照としてカルボキシメチルセルロース) を処理後、歯槽骨吸収をマイクロCTで撮影し、歯肉単核細胞 (GMC) を単離し、フローサイトメトリーで測定し、さらに免疫組織化学染色法で解析した。コントロールマウス口腔内で歯槽骨における炎症反応が認められた。Dec1KOマウスにおいて、歯肉の単球マーカーがP. gingivalisによって減少し、Dec1KOマウスから分離されたGMCsにおいてIL-4とIL-10 mRNA発現が増大した。P. gingivalisはDec1KOマウスで、CD11b+F4/80+ とCD4+RANKL+T細胞数を減少させることが示唆された。TNF-α、IL-1β、RANKLおよびカテプシンK発現が、コントロールに比べてP. gingivalisによって処理されたDec1KOマウスにおいて減少した。Dec1KO マウスの上顎歯肉組織切片のヘマトキシリンおよびエオジン染色で、P. gingivalis治療後 30 日で、WT マウスと比較して単核細胞浸潤が少ないことを示した。 TRAP 染色で、P. gingivalis で処理した WT マウスの歯周組織において、Dec1KO マウスよりも多くの陽性細胞を示した。 免疫組織化学染色では、P. gingivalis 処理が炎症細胞浸潤に伴って CD4、F4/80、TNF-α、IL-1β、RANKL、およびカテプシン K の発現を増加するが、P. gingivalis で処理した WT マウスと比較して、Dec1KO マウスはこれらの発現の減少を示した。
2: おおむね順調に進展している
計画書に沿った進行を行っているが、対象となる生後3ヵ月齢マウスの歯周病モデルの作成やその系の立ち上げ等に時間を要しているため、計画書以上の進展はない。これら問題点は、これまでの各種検討により徐々に解決されていくと考えられるため、今後は更なる研究の進展が期待される。また、並行して進めているマウスの血漿より miRNA の解析を行うにおいても、系の立ち上げ、検討に大きく時間を要しているが、こちらもこれまで検討を基に、今後研究が進展すると期待されている。以上のことから、現在までの進捗状況は、計画書を大きく超えて進展するものではないものの、おおむね順調に進展しているものと判断している。
周病モデルを用いて TAC にて同定された miRNA 機構の解明:A) 実験的歯周病モデルマウスを用いて、TAC により同定された miRNA の in vitro 解析 (リアルタイムPCR法) を行う。B) 血漿の解析 (ELISA法)、顎骨の in vivo 解析 (マイクロCT、ヘマトキシリン・エオジン染色法、免疫染色および TRAP染色法) にて検討する。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 7件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (3件)
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