研究課題/領域番号 |
21K10240
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 賢晃 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20409246)
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研究分担者 |
戸原 雄 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (40468773)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 経皮的電気刺激 / 舌訓練 |
研究実績の概要 |
経皮的電気刺激は、嚥下関連筋のリハビリテーション分野でその有効性が示されている。今年度では、VitalStimPlus(インターリハ株式会社)のパルス持続時間を変更した2つの異なる訓練プロトコールを設定した介入研究を行い、有効な舌訓練法について検討した。 対象は、摂食嚥下障害を主訴として来院した高齢者5名(男性5名、平均年齢85.0±3.5歳)である。登録順に対象者を2群に分類した。1群(3名)は第Ⅰ期にパルス持続時間を300μsに設定した舌挙上訓練(訓練A)を受け、4週間のウォッシュアウト期間後、第Ⅱ期はパルス持続時間を700μsに設定した舌挙上訓練(訓練B)を受けた。2群(2名)はその逆であり、第Ⅰ期に訓練Bを受け、第Ⅱ期に訓練Aを受けるとするクロスオーバー試験を行った。訓練の内容は、頸部刺激を持続した状態での舌挙上訓練を週2日、4週間継続するプログラムとした。アウトカムは、訓練前後の最大舌圧と平均舌圧として、訓練Aおよび訓練Bの治療効果について検討した。 第Ⅰ期の介入の影響が持ち越されないことが重要であるため、持ち越し効果について検討したところ、最大舌圧は1群の方が平均で3.08kPa低いが、p=0.903であるため持ち越し効果は認められなかった。また、平均舌圧は1群の方が平均で5.66kPa低いがp=0.812であるため持ち越し効果は認められなかった。治療効果については、最大舌圧は訓練Bの方がわずかに高いが統計学的な有意差は認められなかった(0.09kPa、p=0.950)。また、平均舌圧は訓練Bの方がわずかに高いが統計学的な有意差は認められなかった(0.25kPa、p=0.875)。 以上より、訓練A、Bとも舌圧の改善は認められたが、訓練Aと訓練Bによる治療効果に有意な差は認められなかった。サンプルサイズが少ないため、引き続き研究対象者を増やしての検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究デザインとして、クロスオーバー試験を行っている。治療効果の検定には12名以上の研究対象者が必要である。現在、すべての研究を終えたものが5名であり、研究を継続しているものが2名である。残り5名の研究対象者が必要な状況であるため。
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今後の研究の推進方策 |
最終解析対象者が12名以上必要なために研究に参加するボランティアを広く募集していく。また、7名の研究データが収集できた段階で、訓練効果の解析を行い、学術大会での発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の計画では、対象者のデータ収集が終了し、所属学会での研究発表および論文投稿を予定していたが、必要な研究対象人数が集まらないために学会参加費、論文投稿料に経費を使用できなかったことが理由である。次年度の助成金は、研究対象者の募集とデータ収集および解析を行い、学術大会での成果発表に伴う学会参加費や旅費および論文作成に伴う経費に当てる計画である。
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