研究課題/領域番号 |
21K10241
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
吉田 彩佳 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (00609414)
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研究分担者 |
吉野 文彦 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (20308307)
高橋 聡子 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (30301592)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 抗菌光線力学療法 / 医薬品色素 / Candida albicans |
研究実績の概要 |
日本の誤嚥性肺炎死亡率は諸外国と比較し高水準であり,原因の一端は AMR 菌を含むカンジダ菌である。しかし,現在のカンジダ症治療は抗菌薬治療のみであり,AMR 菌増加に伴う諸問題への解決が困難なだけでなく増長する。故に,抗菌薬不使用の新たなカンジダ症の根本的治療法の開発が必須である。近年,MRSAなどの耐性菌を光感受性物質で染色し光照射を施し殺菌する,抗菌薬とは異なる機序の抗菌光線力学療法 (aPDT) 研究が活発化している。申請者はこの方法を応用し生体に安全な色素で染色したカンジダ菌を可視光線で殺菌する新規カンジダ症治療を確立すべく以下の研究を行った。 当該年度は,これまで検討を行ってきた,医療用色素の励起・発光の波長およびこれに対応した光照射により産生される活性酸素種が一重項酸素であることを前提とし,医療用色素の中でも最も一重項酸素を産生する色素を利用し,Candida albicansの殺菌効果を検討した。光照射の有無,また色素の添加の有無を加え検討を行った。50J以上の光照射の存在下において,色素の存在下で有意な殺菌効果が認められたが,光照射単独においては有意な殺菌効果は認められず,Candida albicansの抗菌光線力学による殺菌において色素,すなわち光増感剤の存在が必要であることが判明した。 次にCandida albicansの酸化ストレスに対する耐性に関わる1-3βグルカンに関しての検討においては,光照射存在下において有意な減少が認められ,この減少は色素を添加することにより更なる減少が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度までの研究が遅滞していたため,その影響を受けたままであった。当初の予定では,本年度で酸化ストレス検討まで終了し,総括・公表を行う予定であった。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の遅滞により,Candida albicansへの光線力学療法による殺菌メカニズムであると考えられる酸化ストレスの検討を行い,総合評価を行い公表に着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初の予定と比較し,研究がコロナ禍により大幅に遅れており,最終的なメカニズムの検討および論文執筆に取り組めなかったため。 (使用計画)上記理由にあるようにメカニズムの検討,すなわち抗菌光線力学療法によるCandida albicans への酸化ストレスの影響の検討に関わる消耗品の購入,および公表に係る諸経費に使用予定である。
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