研究課題/領域番号 |
21K10262
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
渡部 茂 明海大学, 保健医療学部, 教授 (60113049)
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研究分担者 |
荻原 孝 明海大学, 歯学部, 講師 (10705247)
中村 昭博 明海大学, 歯学部, 助教 (20818364)
町谷 亜位子 明海大学, 歯学部, 助教 (30848916)
小口 寛子 明海大学, 歯学部, 助教 (30848982)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 安静時唾液分泌速度 / 口腔内唾液の希釈 / 嚥下回数 / 1回嚥下量 / 口腔内唾液量 / 小児 |
研究実績の概要 |
ヒトは安静時唾液の嚥下を繰り返すことにより、口腔内に刻々と堆積する細菌性産物、食渣分解物などを希釈して口腔環境の恒常性を維持している。安静時唾液分泌速度はこの希釈能率に需要な影響を果たしていると考えられるが、安静時唾液の測定は同一個人でも変動が大きく(Becks et.al: J.Dent.Res.22:403,1943)、臨床において必ずしも口腔環境を客観的に診断する材料としては位置付けられていない。本研究では、唾液分泌速度や口腔内容積が成人と異なる小児において、唾液クリアランスにかかわる因子、安静時唾液分泌速度、嚥下直前・直後の口腔内唾液量、嚥下回数などが成人とどのように異なるかについて検討を行った。 安静時における燕下直後の口腔内に残留する唾液量(X)は、被験者の安静時唾液中カリウム濃度と、嚥下直後の口腔内を蒸留水でゆすいで得られた希釈唾液のカリウム濃度を比較して求めた。1回の嚥下唾液量(Z)は、被験者の安静時唾液分泌量を生理的な嚥下回数で除して求めた。 嚥下直前の口腔内唾液量(Y)は、 Y=X+Zより求めた。対象は5歳児20名(男児10名、女児10名)とした。 安静時唾液の平均値は0.24±0.13ml/minで、口腔内唾液量は、嚥下直前が0.52±0.14ml、嚥下直後が 0.36±0.12mlであった。また、平均嚥下回数は1.7± 0.5回/分 で1回の嚥下唾液量は 0.14±0.1ml であった。嚥下直前・直後の口腔内唾液量は成人とおよそ50%の値を示していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
設備の調整に時間がかかり、実験が円滑に進まなかった。コロナ禍で唾液を採取するため被験者の獲得が難しい。 唾液中カリウム濃度の測定は文献通りに行っても個人の値に変動がみられ、個人の代表値を特定するには被験者に練習させることが必要であることが分かった。子供も成人と同じ傾向にあることが推定できた。
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今後の研究の推進方策 |
QLF装置の調整と扱い方をマスターし、被験者の口腔環境(初期脱灰、プラーク沈着量)を客観的に把握できるようにする。カリウム濃度測定法の改善を図る。コロナ感染者数が減少してきて、被験者は得られやすくなってきているので、いい傾向と思われる。2年目は成人を対象に行う。 各研究協力者の進捗状況を確認する会議を定期的に開き、進展を促すようにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
納期が4月以降になったものがあり、次年度使用額が生じた。
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