研究課題/領域番号 |
21K10277
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
阪口 博政 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (60757516)
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研究分担者 |
古井 健太郎 松山大学, 経営学部, 准教授 (20825624)
荒井 耕 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (90336800)
渡邊 亮 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 准教授 (90756173)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 病院 / 医療 / 物流管理 / 物品管理 / SPD |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、医療機関の院内物流のあり方について、外部企業との連携の観点から関係構築メカニズムを解明することである。この研究目的に対して、文献調査、インタビュー調査、アンケート調査を用いて明らかにする。 2023年度は、文献調査については、2022年に投稿した論文の査読対応が終了し受理された。同論文では、文献調査レベルでの日本における院内物流の現状に関して、医療資材については2000年代後半にかなり広まり、医薬品は2010年代前半から急激に増加したことを明らかにした。また、外部企業への委託業務については、2000年代前半から委託業者ありのケースが一般化されていったことを明らかにした。 アンケート調査については、①2023年2-3月に実施した調査をもとに、とくに医薬品SPD部分の解析が終了し、投稿中である。本邦における初の医薬品SPDに関する全国調査であり、導入状況としては38.8%であり、公的であるほど・病床規模が大きいほど導入が進んでいた。業務委託には3分類でき、私的であること・病床規模が小さいこと・現在の運用開始が遅いほど委託範囲が拡大していた。 また関連し、医療材料については想定以上に複雑化していることが明らかになった。そのため、委託目的・導入効果に関する追加アンケート調査を2023年11-12月に実施し、調査対象252病院に対する有効回答150病院の調査データを、初回調査データと合わせて解析中である。 インタビュー調査については開始当初から継続して実施しており、2021-22年度までに実施した14件に加えて、2023年度は3病院・2企業への調査を実施し、とくに導入効果と今後の方向性に連携に焦点を当て、受託企業の付加価値や情報の活用の仕方について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画に比べ、コロナ禍によるインタビューの実施が遅延した。また2回予定していたアンケートについては、初回アンケートの結果を踏まえて2回目アンケートの調査内容を大幅に修正したため、予定に比べてやや遅れた状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査については、初回アンケートにより医療材料・医薬品SPDのデータを収集し、医薬品については解析を終了し論文投稿中である。医療材料については想定より複雑な状況が判明したため、2回目アンケートを当初の予定より修正して初回アンケートの補完調査内容とした。現在、両アンケートの統合・単純集計まで終了しており、業務パターンの抽出や属性別/機能別の効果分析を進める予定である。 インタビュー調査については、横断的な事例報告とする予定である。単純な業務移管を越えた興味深い事例も確認されており、病院・事業会社にとって、一般企業におけるロジスティクスの進展過程から、今後の運用の方向性について示唆を得る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度の使用において差異が生じた最大の理由はアンケートの実施対象によるものである。 本研究では合計2回のアンケート調査を予定しており、当初はすべてのDPC/PDPS対象病院に対して2回実施する予定であった。2022年度実施の初回アンケートを経て、想定以上に調査を行ったSPDの実施形態が多様化していたことを確認し、2回目予定アンケートの内容を切り替えて初回調査を深堀する追加調査としたことで、調査対象数が初回アンケート回答病院のみへ減少したため差異が生じている。 追加調査によって定量的な状況はある程度把握できたが、当然ながら多様な状況における定性的な状況は把握しきれていない。そのため差異分はインタビュー調査を行うことに当て、研究目的の一端である効果的・効率的な運用について先端事例や参考事例を収集する予定である。
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