当該研究成果を関係者と共有するため、最終年度に、海外、特に米国との比較において、日本の課題をまとめ、「日本の被験者保護のはてな?」と題した7回シリーズのWEBセミナーを実施し、毎回358名から500名の視聴者を得た。また、令和5年12月15日に開催された第44回日本臨床薬理学会学術総会において、米国のMass General Brigham IRBのHiromi Martorano氏をゲストに、「日本の被験者保護を考える」をテーマにシンポジウムを開催した。これらを含め、当該研究を「日本の被験者保護のはてな?」として冊子にまとめた。この冊子は、被験者保護」の考え方:Human Research Protection Programとは?/IRB国内外比較/米国IRBの承認基準とExempt規程/弱者の審査/CAPA(是正処置及び予防処置)の意味するところ/組織として求められる相談体制/一括審査への取り組み方の違いから構成されている。そして、今後の方向性として、(1)縦割り規制からコモンルールへ(2)日本の臨床研究・治験の将来に責任を持つ国の部署の明確化(3)日本の臨床研究の質保証の在り方(4)自主的活動の活性化(5)ノウハウを蓄積できる雇用体系を挙げ、これらはいずれも構造(しくみ)に係る問題であり根が深いこと、しかし、これらが改善されなければ、日本は国際基準から取り残されることを指摘した。
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