研究課題/領域番号 |
21K10286
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
尾関 理恵 順天堂大学, 医学部, 助教 (60801991)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 乳癌 / 電子患者日誌 / 分子標的薬 / 化学療法 / 経口抗がん剤 / 副作用発現 / アカデミック・ディテーリング / 処方支援 |
研究実績の概要 |
①乳癌電子患者日誌の開発:乳癌患者が治療中に記録できる電子患者日誌の画面設計を考案した。具体的には、乳癌治療で使用する薬剤一覧を抽出し、その剤形、用法用量をまとめた。副作用収集項目について、各薬剤での頻出項目を調査し、質問項目について検討した。患者の入力画面についてはこれまで開発した電子患者日誌の内容をもとに、より簡便で、見やすいものとした。これらの内容をシステム会社と複数回打ち合わせを行い、作成を委託した。現在は完成した電子患者日誌の不具合がないかテストしている段階である。 ②乳癌診療の実態調査:乳癌診療におけるアドヒアランスや治療の奏功状況を調査するためにCDK4/6阻害薬であるパルボシクリブ、アベマシクリブを処方された患者を対象に、処方歴、副作用の発生状況、治療経過などを後ろ向きに調査する。結果を第30回日本乳癌学会学術総会で報告予定である。 ③アカデミック・ディテーリング支援システムの開発:コマーシャルベースではない、基礎科学と臨床のエビデンスを基に医薬品比較情報を能動的に発信する新たな医薬品情報提供アプローチであるアカデミック・ディテーリングで使用するシステムを開発中である。日本がんサポーティブケア学会の新規薬剤委員会のメンバーとして、非ステロイド系鎮痛薬のアカデミック・ディテーリングの資材作成を行っている。第7回日本がんサポーティブケア学会学術集会の委員会企画として、支持療法の最適化に向けた非ステロイド系鎮痛薬アカデミック・ディテーリングとして報告予定である。 ④電子患者日誌を用いた臨床研究:乳癌治療中の患者を対象とした電子患者日誌を用いた服薬管理、セルフモニタリングを目的とした臨床試験を計画中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①乳癌電子患者日誌の開発:乳癌電子患者日誌の画面設計を行い、システム会社に開発を委託した。電子患者日誌は完成し、現在不具合等がないか確認している段階であり予定よりも早く進展している。 ②乳癌診療の実態調査:研究計画を作成し、倫理審査中である。承認後データ収集、解析を行う。 ③アカデミック・ディテーリング支援システムの開発:新たに非ステロイド系鎮痛薬のアカデミック・ディテーリングの資材作成を行っている。 ④電子患者日誌を用いた臨床研究:現在臨床試験の計画を作成中である。
|
今後の研究の推進方策 |
電子患者日誌は現在服用中の薬剤を記録することができ、患者が服薬と体調変化を管理するためのツールである。服薬忘れに対するアラートを使用することでアドヒアランス低下を防止し、さらに患者自身の体調を記録することで副作用の早期発見を目的としている。今後は倫理審査委員会による承認を得た上で、実際の患者さんに使用していただき、有用性について調査する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
電子患者日誌の初期開発予算が抑えられたため、次年度へ繰り越しとなった。電子患者日誌は実装前であり、臨床試験開始にあたり、不具合の調整や仕様の変更に対する追加費用や今後の改修予算、ランニングコストとして使用する予定である。
|