本研究「深層学習を用いた心不全に対する予後予後モデルの構築」について2016年~2020年の5年間に心不全で入院した730例のDPCデータと各検査データを加えたデータベースを構築、さらにクラスター分析と深層学習による予後予測の検証を行った。まず、クラスター分析についての研究成果は、5つのクラスターに分類され、年齢と腎機能の2つの予後因子は判明、「Exploring and Identifying Prognostic Phenotypes of Patients with Heart Failure Guided by Explainable Machine Learning」としてLife(IF=3.78)という医学雑誌にアクセプトされた。さらに、深層学習による解析については、従来の深層学習モデルであるDeepSurvによる検証と最新の時間軸を含めたRNNSurv、そしてCox proportional hazardモデルによる比較検証を行い、結果、時間軸を含めたRNNSurvの方が予後予測精度が高いことが示された。また、Cox proportional hazardモデルと比較して交絡因子に左右されることなく予後因子の同定とリスク評価を行うことが可能であった。その結果について「Risk of Mortality Prediction Involving Time-varying Covariates for Patients with Heart Failure Using Deep Learning」というタイトルにてDiagnostics(IF=3.99)に2022医学年に医学雑誌に掲載された。現在、国立国際医療センターのデータ含めて約1200名のデータベースでの検証を行い、開発した深層学習モデルの有用性と心不全予後因子を明らかにし、さらに、UK biobankなど海外のデータベースとの対比も検討している。
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