研究課題/領域番号 |
21K10289
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
鈴木 健司 新潟医療福祉大学, 医療経営管理学部, 教授 (00303123)
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研究分担者 |
齋藤 翔太 聖路加国際大学, 臨床疫学HTAセンター, 特任講師 (60739465)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非正規雇用 / メンタルヘルス / うつ病 / COVID-19 / 緊急事態宣言 |
研究実績の概要 |
本研究課題「COVID-19が日本の非正規雇用者のメンタルヘルスにもたらしたインパクトの解明」では、①日本の正規雇用者、非正規雇用労働者の間で、健康・メンタルヘルス・社会経済学的な因子の相違に関してCOVID-19発生直後の実態はどうなっていたのか、また、②COVID-19発生のインパクトが、労働弱者と想定されている非正規雇用者へ健康・メンタルヘルス・社会経済的因子上どのような悪影響を生じさせ、その程度は正規雇用とどれだけ異なるのか、さらに③労働者に対してCOVID-19が健康・メンタルヘルス・社会経済因子上悪影響をもたらした場合、いかなる有効な対抗策をとりうるかという3つの重要な課題の解明を目指して実施する。 2021年度は計画1を予定通り実施、結果を英語論文発表した。:COVID-19緊急事態宣言前の非正規雇用・正規雇用者へのアンケート調査と解析:日本での新型コロナ感染症に対する緊急事態宣言発令前の2020年3月26日から4月6日の間に第1回目のアンケート調査を実施し、基礎データをすでに収集した。男性1514人、女性1487人、合計3001人からの回答デジタルデータを、非正規雇用と正規雇用間で多変量解析する。標本集団でバイアスが生じないよう各種因子のマッチング行った上で前向きコホート研究の統計解析を行う。またアンケート項目では、健康の質を評価するために実績のある日本版EQ-5D-5L尺度を使用した。メンタルヘルスの状態を判定するために日本版CES-D尺度を使用した。また精神的ストレスに対する抵抗性の指標である日本版SOC尺度を使用した。このほかに社会経済的因子にかかわる質問項目を含めた。これらの研究計画は新潟医療福祉大学の倫理委員会の審査承認を得て実施している (承認番号 18385-200318)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19緊急事態宣言前後の非正規雇用・正規雇用者へのアンケート調査、および2021年中に第3回目の横断調査を実施済みであり、研究計画は順調に実施できている。横断研究に関する結果につき2021年度内に英語論文発表することができた(Niigata Journal of Health and Welfare)。縦断研究結果を解析したところアンケート脱落者が研究結果にバイアスを与え、COVID19のメンタルヘルスに与える影響が正しく判定できない可能性を生じることが明らかとなった。そこで現在縦断研究における脱落者バイアスに関する研究結果を論文発表準備中である。また2022年度中に第4回目の横断調査を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2022、2023年度に下記研究計画を逐次遂行する予定である。 計画2. 緊急事態宣言解除直後の非正規雇用・正規雇用者へのアンケート調査と解析:緊急事態宣言解除後の2020年6月26日から7月2日に第2回目のアンケート調査を実施したので、研究計画1および2は令和3年度内にデータの統計学的解析を完了する。この調査により緊急事態宣言が日本の労働者のメンタルヘルスに与えた影響を評価する。 計画3. 緊急事態宣言解除1~3年後の非正規雇用・正規雇用者へのアンケート調査と解析:緊急事態宣言1~3年後にアンケート調査を経時的に各年度ごとに同様に行いCOVID-19発生後の労働者のメンタルヘルスへの影響を経時的に評価する。該当年度のデータ解析に加え、各種因子のサブ解析も実施し、可能なデータの中間報告を学会や論文で発表する。最終年度にこれまでのデータのすべてを解析し、研究目的3つの課題に対する検討を統計学的解析結果に基づき実施する。本研究結果を総括し国内外の学会および英語論文で発表すると同時に、新潟医療福祉大学のホームページで社会にむけて公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染対策で大学への入構禁止期間が生じ、大学院生のバイトが不可能となったことで予定していたアルバイト代の支出がなくなったことなどのため、研究費の次年度繰り越しが生じた。
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