研究実績の概要 |
本研究の目的は、①日本の格差社会を生み出す元凶の一つと想定されている非正規雇用と正規雇用の間での健康・メンタルヘルス・社会経済因子の相違を明らかにすること。さらに、②現在進行形で世界に影響を及ぼしているCOVID-19が、今後日本の労働者の健康・メンタルヘルス・社会経済因子にいかなるインパクトを及ぼすかを、特に非正規雇用と正規雇用の両群間の対比から年余にわたり調査すること、そして③COVID-19が日本の労働者のメンタルヘルスを含めた健康に及ぼす悪影響を克服するために有効な対抗策を検討することである。 2021年度は計画1. COVID-19緊急事態宣言前の非正規雇用・正規雇用者へのアンケート調査と解析を実施し、結果を論文発表した(R Qi, HTT Thanh et al.Niigata J Health and Welfare 2021)。 2022年度は研究計画2. 緊急事態宣言解除直後の非正規雇用・正規雇用者へのアンケート調査と解析の結果を論文発表した (HTT Thanh et al. Niigata J Health and Welfare 2022)。 2023年度は研究計画3. 緊急事態宣言解除1年後の非正規雇用・正規雇用者へのアンケート調査と解析を実施し、結果を論文発表した(HTT Thanh et al. Niigata J Health and Welfare 2023)。研究計画3の結果、本調査では脱落率が高率であり、追跡調査のコホートに標本特性の変化が生じて追跡調査の信頼性が低下することが明らかとなった。 コロナ禍の労働者のメンタルヘルスへの影響を正しく評価するため、2023年度に新たに横断調査を実施したところ、新型コロナ感染症が5類に変更されたあとのデータはコロナ前同様の状態に戻ったことが示唆された。最終調査結果を現在詳細に解析中である。
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