研究課題/領域番号 |
21K10303
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
石田 博 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50176195)
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研究分担者 |
永野 浩昭 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10294050)
平野 靖 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (90324459)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 症例登録 / 登録情報の検証管理 / 診療情報 / 固有情報 / 症例登録支援システム |
研究実績の概要 |
2023年度は、症例登録とその登録精度の検証に用いる情報対象を手術時の輸液量、出血量等の施設内の非標準構造データに拡げる検討とともに、施設内に実装した大規模言語モデル(LLM)を用いてテキストによる診療情報から登録に活用可能な固有情報の抽出を胃癌、大腸癌、乳癌の病理報告書を対象に試み、癌腫によっても抽出割合が異なる結果であったが、最も良かった乳癌において部位、大きさやレセプター陽性数等の数値情報、T分類等グレード等の情報については約7から10割の情報抽出が得られたが、波及度、断端等についてはそれ以下の結果であった。今後、テキストによる報告書等から一定の抽出精度での固有情報が取得される前提での病理報告情報、非標準化構造情報としての手術実施情報を従来の標準化情報に追加し登録、検証に活用可能な情報範囲を拡大し、検証が可能となる登録項目の整理を行うとともに、最終的なプロトタイプシステムの構築と乳癌の既登録データを対象とした検証を行った。 本研究では、症例登録情報と既存データとの一致度を消化器癌、乳癌手術症例を対象に検証し、該当症例の登録漏れは認めなかったが、体重や検査結果等の数値情報、TN分類、ホルモンレセプター情報等で内容の不一致を認め、手入力による登録情報の検証の必要性および登録支援システムの重要性が確認された。他方、登録に必要となる情報が広範に渡ることから、既存の標準化構造情報のみの不足を補う目的で、施設内の非標準構造化情報の追加とともに、専門領域固有の情報やホルモンレセプターなどの情報が含まれる病理報告を対象にLLMを用いてそれらの固有情報の抽出を試み、今後のテキスト情報の活用が期待できる結果を得た。HL7 FHIRと同様のREST api等を基盤とし、より広範な情報を活用する汎用性の高い登録支援と情報検証を可能とするシステムの実現に向けた方向性が示された。
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