研究課題/領域番号 |
21K10305
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
須崎 康恵 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30382302)
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研究分担者 |
長井 美奈子 奈良県立医科大学, 医学部, 学内講師 (80646092)
裏山 悟司 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90609976)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 女性教員・医師 / 研究支援 |
研究実績の概要 |
令和4年度に実施した13名の女性教員・医師(准教授1名、助教9名、医員3名)への個人面接の結果、家庭生活と仕事の両立において、研究時間の確保に困難を抱えていることが明らかとなった。奈良県立医科大学では、平成23年度文部科学省の女性研究者研究活動支援事業に採択後13年間、女性教員・医師を対象に研究支援(ライフイベント中の研究支援員配置、女性研究者表彰、科研費申請支援)を実施している。令和5年度は、平成23年度から令和5年度までの13年間に行った本学の研究支援が、対象者個人の昇進や研究業績、大学全体の女性教員増加、女性の研究力向上に及ぼす効果について検証した。本学で研究支援員配置制度を利用した女性教員・医師は、総数27名(基礎系教員5名、臨床系教員6名、医員11名、看護学科教員5名)で、制度利用の理由は、育児25名、介護1名、不妊治療1名であった。これら研究支援員を配置した27名の内16名が昇進(教授採用1名、教授称号授与1名、講師昇任6名、助教採用8名)し、定年退職者1名を除き離職者はゼロで、他大学転出2名と関連病院出向1名を除く23名が本学で就労を継続していた。育児休業中の1名を除く22名の内、令和5年度に競争的資金を獲得したのは17名で、獲得割合は77.2%と高く、本学教員の獲得割合52.7%を大きく上回っていた。また、本学女性教員全体の競争的資金獲得割合も平成26年度の29.7%から令和5年度は59.1%に増加していた。本学医学科の女性教員数は、助教と講師を中心に増加し、教員の女性割合は、令和23年度の11.2%から令和5年度は19.1%に増加していた。これらの結果から、女性教員・医師を対象とした研究支援は、対象者のアカデミックキャリア向上に有効であるのみならず、大学全体の女性教員の増加と研究力向上にも有用と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の調査から、女性教員・医師が研究時間の確保に困難を抱えていることが明らかとなったため、令和5年度は、本学で13年間にわたり実施している女性教員・医師を対象とした研究支援の効果を検証した。検証の結果、女性教員・医師を対象とした研究支援は、対象者のアカデミックキャリア向上に有効であるのみならず、大学全体の女性教員の増加と研究力向上にも有用であることが明らかとなっており、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
3年間の調査で明らかとなった知見を補強、補充、確認するために国内外の文献研究や先行調査研究を行う。それら研究結果を基に、女性医師のアカデミックキャリア向上を阻む職場要因や女性医師育成の現状と課題を提示し,対処法や解決策を男女混合のグループで考えるプログラムを作成する。その後、これら キャリア教育プログラムを奈良県立医科大学医学科学生を対象に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度は国際学会への発表や論文投稿ができなかったため、それらに関連する経費が不要となったため、次年度使用額が生じた。
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