研究課題/領域番号 |
21K10312
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
岸本 桂子 昭和大学, 薬学部, 教授 (50458866)
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研究分担者 |
櫻井 秀彦 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (70326560)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 質的研究 / 高血圧 / 2型糖尿病 / インタビュー調査 |
研究実績の概要 |
慢性疾患患者と対人援助職との対話に関する先行研究のレビューを行った。高血圧に関するよりも2型糖尿病に関する研究の方が多く存在していた。高血圧に関しては、海外ではアドヒアランスの障壁、知識などに関する多数の先行研究が存在していたが、一方、国内ではごく僅かな研究のみであった。また、医師、看護師と慢性疾患患者との関わりに関する研究は複数存在していたが、薬剤師との関わりに関する研究は少なかった。アドヒアランスや患者の知識に関する研究は多数存在するが、患者自身が疾患をどう捉え、薬物療法に対してどのような思いを抱いているか言及している研究は少なかった。慢性疾患における薬物治療は長期に渡るため患者の病気の受け止め方や薬物治療に取り組む姿勢は常に一定とは限らず、流動的に変化していくと考えられる。よって医療者はこの患者の変化に応じた配慮を行っていく必要がある。また、患者から薬局薬剤師への情報伝達の積極性には、患者の薬局業務の理解と薬物治療に取り組む姿勢と薬剤師への信頼感が関連することや、疾患によって病気に対する捉え方が異なることが示されており、医療者に求める役割の認識も異なっている可能性がある。 先行研究レビューの結果に基づき、高血圧症または2型糖尿病患者が診断されてから現在に至るまでどのように自分の病気を位置付け、医療者に対してどのような役割を求めているのかを明らかにすることを目的としたインタビュー調査を実施することとした。「生活習慣病の壮年期患者を対象とした薬物療法に関する質的研究」に関する研究計画を立案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本科研費の研究課題を実施するにあたり、我々の先行研究である17K09244「薬物治療の効率・安全性の向上に寄与する薬局における患者の情報伝達促進の方策の確立」において実施したインタビュー調査「薬局における患者から薬剤師への情報伝達の積極性阻害要因の探索」について詳細な質的分析を行った。この質的分析に時間を要し、本科研費の研究計画の詳細な内容の立案に遅れが生じた。 「生活習慣病の壮年期患者を対象とした薬物療法に関する質的研究」について、昭和大学における人を対象とする研究等に関する倫理委員会において2022年2月25日承認が得られた。また本科研費におけるインタビュー調査は、インタビュー協力者(研究対象者)の居住地域の偏りを防ぐため、調査会社に対象基準に該当するインタビュー協力者(研究対象者)のリクルートを依頼することを計画している。調査費用と調査開始時期等について条件と合致する調査会社を選定するのにも時間を要した。しかし、条件に合致する調査会社の選定は終了し、2022年6月からのインタビュー調査の開始が予定されている。
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今後の研究の推進方策 |
「生活習慣病の壮年期患者を対象とした薬物療法に関する質的研究」に関するインタビュー調査は2022年6月末で終了予定である。また、2022年度に計画していた「薬剤師を対象としたインタビュー調査」および「薬剤師と患者の対話の非参与観察」については、7~8月にかけて研究計画を作成し、9月中に倫理委員会の承認を得る予定である。「薬剤師を対象としたインタビュー調査」および「薬剤師と患者の対話の非参与観察」について、進行が遅れることが無いように、分担研究者と密に連絡を取っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に実施を計画していた「生活習慣病の壮年期患者を対象とした薬物療法に関する質的研究」に関するインタビュー調査の実施が遅れたため次年度使用額が生じた。本研究に関する倫理審査は2022年2月に終了し、インタビュー協力者のリクルートを委託する調査会社の選定は終了しており、2022年6月末までにインタビュー調査は完了予定である。
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