研究課題/領域番号 |
21K10320
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研究機関 | 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 |
研究代表者 |
吉川 徹 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 過労死等防止調査研究センター, センター長代理 (50332218)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 職業感染 / ばく露後予防 / 労務管理 / 針刺し切創 / エピネット日本版 / 肝炎 / 個人防護具 / COVID-19 |
研究実績の概要 |
本研究は、医療現場における針刺し切創多施設サーベイランスネットワークを活用して、血液媒介病原体(HIV、B/C型肝炎ウイルス等)等への最近のばく露実態とばく露後対応に関する調査を行い、医療従事者の職業感染予防に関する労務管理上の課題を明らかにする。また、これまで定型化されていないBBPsを含む職業感染ばく曝露後追跡ツールの開発および試用を行ない、医療機関における現実に即した職業感染病原体へのばく露後管理の実装化に関する学術的知見を得る。その際、COVID-19のようなエアロゾル感染症への対応も視野に入れることとする。そのため、1)定式の書式(エピネット日本版)を用いたサーベイランスネットワークを活用したBBPsを含む血液・体液曝露事例(直近3年間(2018-2020)、約70施設、約9,000件)の解析、2)科学的根拠に基づく曝露後追跡ツールの開発、3)労働資源や医療資源の変化に対応できる医療機関にあわせた曝露後フォローアップに関する労務管理に有用な知見を明らかにする。2022年度は、(1) 2021年度に実施したエピネット日本版サーベイランス(JES2021)結果を用いて、特に採血に関連した針刺しデータを報告し、ばく露路フォローアップのための知見を整理した。(2)職業性感染症の労災補償統計と針刺し切創サーベイランス結果を参照し、職業性感染症とその対策について報告をまとめた。(3)COVID-19の流行を通じて課題がみえた医療従事者の感染防護具に関する課題を整理し、職業感染制御研究会を通じて「感染予防のための個人用防護具(PPE)の基礎知識」に活用した。(4)米国等で先行して利用されている医療従事者安全センターが開発したBBPs Follow-up system (BBF)の翻訳版の作成準備を継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度は、(1) 2021年度に実施したエピネット日本版サーベイランス(JES2021)結果の活用、(2)職業性感染症の労災補償統計と針刺し切創サーベイランス結果を参照し、職業性感染症とその対策についてまとめるなど、ばく露後フォローアップのための準備は進められたが、(4)米国等で先行して利用されている医療従事者安全センターが開発したBBPs Follow-up system (BBF)の翻訳版の作成準備を継続したものの、実際に利用するためのフォーマット作成の準備に時間を要していて、現場での利用が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
米国等で先行して利用されている医療従事者安全センターが開発したBBPs Follow-up system (BBF)の翻訳版の本年度中のツール完成を目指し、本年度後半には利用するトライある施設を選定する。COVID-19の流行のフェーズも2023年から落ち着いてきている状況にあり、協力施設の募集が昨年よりも容易になる可能性がある。本計画は来年度に延長して、2024年度にフォローアップできるような計画に修正する。その際、対象施設において、手術時の事前の肝炎ウイルスの検査、COVID-19のPCR検査などの事前評価の内容、およびばく露後のフォローアップ方法などに関して、対象施設であわせてヒアリング調査などを行い、使いやすいツールとして開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
・ばく露後サーベイランスツールの開発を共同で行っている研究協力者の体調がすぐれす、令和4年度における開発を休止している。令和5年度から再開予定である。
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備考 |
職業感染制御研究会によるエピネット日本版サーベイランスの結果及び過去のログデータ、「感染予防のための個人防護具(PPE)の基礎知識」の冊子等、職業感染とばく露後予防に関する研究成果や資料などを無料で公開している
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