研究課題/領域番号 |
21K10322
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小橋 孝介 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任研究員 (50814034)
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研究分担者 |
山岡 祐衣 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト助教 (20726351)
馬場 幸子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90532987)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子ども虐待 / 体罰 |
研究実績の概要 |
医療機関や行政機関は地域の親子が利用する事が多く、その中で子どもを「怒鳴る」、「たたく」といった体罰の場面を目撃することも少なくない。しかしこのような場面で介入し、代替行動を示す事は容易ではない。どのようにその親子に声がけを行い、どのような代替行動を取れば良いのかを示し、技術として身につけ行動を起こすことができる様にするため米国で開発され、エビデンスも蓄積されつつある「ノー・ヒット・ゾーン(NHZ)」の邦訳版を用いて、医療機関、行政機関においてプログラム受講者への前向き効果研究を行っている。効果研究においては、海外の先行研究で使用され、妥当性及び信頼性について確認されている質問紙であるAttitude Toward Spanking Questionnaire(ATS)を元に言語的妥当性を担保した翻訳版質問票を作成するための標準的な手順に従い作成した「子どもを たたくことについての質問票13項目版(ATS13-J)」を用いている。現在受講前のデータ解析を行い、現在受講後6か月の調査中であり、今後1年まで解析予定である。 今回の解析では対象者は118名、ATS-J13による評価では、体罰の行使に対してあらゆる場面で反対であったのは37%だった。また、82%が過去1年以内に体罰場面に遭遇しており、その中で遭遇した際にいつも行動を起こせたのは38%だった。行動を起こせなかった62%の理由として、「なんと声がけしたら良いのかわからなかった」が33%、「親が怒って子どもにもっと痛いことをするのではと心配だった」が16%だった。行政機関において多くが体罰場面を目撃ているにもかかわらず、適切な声がけ等の行動がとれていなかった実態が米国での先行研究と同様に明らかになった。現在6か月のデータを解析中であるが、体罰場面において、適切な声がけと介入を行うNHZの効果が日本においても期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度米国の体罰防止教育プログラム(ノーヒットゾーン:医療機関や行政機関職員を対象とする体罰防止教育プログラム、プレイ・ナイスリー:養育者を対 象とする体罰防止教育プログラム)を用いたプログラム評価の検証研究を行った。プログラム受講者の長期的な効果について次年度にかけて継続的に検証を行う。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は鴨川市において、プログラムの効果研究を進めていく。併せて、プロ グラムのe-learningのコンテンツ作成、評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨度解析に関わる費用が少なかったため、残金が生じている。次年度解析対象が多いため、そこで使用する予定。
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